おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ゴート

からしとしと雨が降る一日。

映画「ゴート」を観た。

上半身ハダカの青年たちが、大声で何かを囃し立てるように手を叩くスローモーション映像。
ゆっくりとした動きが実に不気味だ。
しかも、どいつもこいつも目がイッちゃってるよ。
なにこの映像?
そんな異様な光景から物語は幕を開ける。

兄が所属する大学の社交クラブのパーティーにやってきた青年がいる。
大音響の中、若者たちが羽目を外し酒とクスリとセックスにいそしんでいる。
いや、青春を謳歌しているというべきか。

場にそぐわないと感じた彼は、兄を残しひと足先に帰ることにした。
ちょうど車に乗り込もうとしたところ、男が近づいてきたよ。

近くまで乗せてくれないか。

気のいい彼は断りきれず、2人組みの男を乗せてしまう。

バガだなや。
こんなパーティーさ来るような奴、まともなわけがないべや。
しかも、パーティーの客かどうかも怪しいっちゃ。

案の定、道を外れたひと気のないところに連れ込まれ、いわれなき暴力を受け、彼は心身ともに深く傷つく。
何よりも臆病で抵抗すら出来なかった自分が腹立たしかった。

そんな時、事件から立ち直れずにいる弟を案じる兄が、社交サークルへの入会を勧めた。

それは大学でも一目置かれる、皆の憧れのサークルらしい。
オソロのロゴ入りTシャツやらポロシャツを着た彼らは、メンバー同士の結束力が強く、それは卒業後も続く。
いわば秘密結社のようなものだ。

入会審査を乗り越えれば兄のように晴れてメンバーの一員となり、楽しいキャンパスライフと将来が約束される。

弱い自分を変えられるチャンスかも。
そう思った彼は、ルームメイトと共に入会の試練に臨む。

しかし彼は、まだ何も分かってはいなかった。

彼を待ち受けていたもの。
それは通過儀礼の名の下に行われる、自尊心や個性を徹底的に破壊し、全体主義を目指すいじめまがいの虐待と暴力であった。

物語は、大学の社交サークルにおける通過儀礼の実態に迫るヒューマンドラマ。

暴力は、そのはけ口を求め、更なる暴力を生むと物語はいう。

その場の空気に流され、思考停止に陥ってゆく集団心理の恐ろしさを目の当たりにする。
先輩が後輩をいびる負の連鎖のごとき運動部のしごきをふと思い出す。

これが実話だというのだから恐ろしい。
我々の社会はこういった秘密結社のメンバーによって運営されているというのか。
仲間内では絶対に暴力を振るわないという彼ら。
後輩いびりで飽き足らなくなったそのはけ口は、いったいどこへ向かうのだろう。
社会に蔓延する「いわれなき暴力」の原点を知る胸くそ悪い一作。

「パレードへようこそ」のベン・シュネッツァー、
ニック・ジョナス、
ガス・ハーパー、
ジェイク・ピッキング
「サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶」のダニー・フラハティ、
オースティン・リヨン、
ブローク・ユリッヒ、
エリック・ステーブズ、
ジェームズ・フランコ共演。

原題「GOAT」
2016年 制作。
R-15+

広告を非表示にする