おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ジーサンズ はじめての強盗

洗濯物の乾きも今ひとつな曇り空の一日。
このところの雨続きもあってか、猛暑で鳴りを潜めていた蚊が今頃になってベランダに出没し始めた。
中秋の名月は蚊取線香が欠かせなさそうだ。

映画「ジーサンズ はじめての強盗」を観た。

よろよろと回転扉をくぐり銀行の受付にやってきたじいさんがいる。
ハイテクな番号札を持たされ、待合いの椅子に腰掛けたとたん順番が回ってきた。
やれやれ、この年になると待合いの椅子から立ち上がるのも一苦労だ。

さて、じいさん。
このたび銀行から住宅差し押さえの通知が来た。
担当者によると、ここ数ヶ月企業年金の振込みがなく預金残高がマイナスになっているという。
それだけではない。
住宅ローンの金利が上がったせいで月々の返済額が3倍にも及んでいる。
一緒に暮らす娘と孫娘のため、今どうしても家を手放すわけにはいかない。
そこでじいさん、返済を猶予してもらうため相談にやってきたというわけだ。
ところが、この悪どいローンを勧めておきながら担当者はどこ吹く風。
バンカーってのは血も涙も無い連中なのか。

その時じゃった。
銀行に覆面の強盗団が押し入った。
持っているものを出せというので、差し押さえ通知を出すじいさん。

それを見た強盗はじいさんに心から同情し、銀行のカネだけ奪って去ってゆく。
じいさんには、人を傷つけない彼らが悪い人間には思えなかった。
むしろ、悪どいのは40年もカネを預けた庶民から家をむしり取る銀行の方ではないか。

後日、この出来事をペタンク仲間のジジイたちに語り聞かせるじいさん。
この仲間たちもじいさんと同様、30年勤め上げた企業の吸収合併に伴う年金廃止によって生活苦に直面している。

ああ、社会の風は老人になんと冷たいことか。

事件以来、強盗の無駄の無い仕事振りが目に焼きついて離れないじいさんは、追い詰められた仲間たちにある提案を持ちかけた。

生きがいも無くただ死ぬよりいいじゃないか。
最悪捕まっても寝床と三食付きだよ。
医療だって受けられる。
今よりマシな暮らしかもしれん。

こうしてシルバーならではのスローペースな銀行強盗計画が幕を開ける。
果てさて一体どうなることやら。

物語は、なけなしの年金を奪われ犯罪に走る老人たちを描いたクライムコメディ。

長年こつこつと勤め上げた彼らは、社会の理不尽な裏切りによって窮地に立たされる。
人生の黄昏と、失意が老人を犯罪へと駆り立ててゆく躍動感をミックスした一作。

話のテンポが悪くストーリーにエンジンがかかるのにだいぶ時間を要するのが難点。
宴会よろしくイエーイ♪と踊ってごまかすのは間が持たない下手な作品の典型だ。
保護犬活動家が描く見取り図がやたらと上手いユーモラスなエピソードも散見されるが、全体的にメリハリが乏しく肝心の笑いどころまで薄まってしまった印象。

また、子供や老人といった弱者を押し出し同情を買うようなあざとい描写も頂けない。
ここは「ミッドナイト・ガイズ」のようにジジイのカッコよさで勝負するべきだった。
ベテラン役者による味わいのある演技だっただけに惜しい。

「グランドフィナーレ」のマイケル・ケイン
「その女諜報員 アレックス」のモーガン・フリーマン
「クーパー家の晩餐会」のアラン・アーキン
「インファナル・ディール 野蛮な正義」のマット・ディロン
アン・マーグレット
バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイド
少年は残酷な弓を射る」のシオバン・ファロン、
「SPY/スパイ」のピーター・セラフィノウィッツ、
「ザ・ブリザード」のジョン・オーティス
死霊館」のジョーイ・キング共演。

原題「GOING IN STYLE」
2017年 制作。
PG-12