おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

わたしの可愛い人 シェリ

穏やかな晴天の一日。
ぼちぼち花粉も飛び始めたようで
油断ならない。

映画「わたしの可愛い人 シェリ」を観た。

時は19世紀末。
高級娼婦(ココット)が大女優さながらの
セレブとして持てはやされ、
画家らはこぞってこのミューズたちをモデルにした。

彼女たちのパトロンは欧州の王侯貴族。
中には、一国の君主を破産させるほど貢がせた
ツワモノもいたという。
売春史上、最も輝やかしいこの時代は
ベルエポックと呼ばれた。
そんな前置きから物語は幕を開ける。

ここに、ひとりの高級娼婦がいる。
上流社会に名を馳せた美女であるが、
もう若くもないしそろそろ引退をと考えている。

彼女には目下、つき合っている青年がいた。
長年の友でやり手のライバルでもあった高級娼婦が
金持ちとの間にもうけた子で、
幼少の頃から見知った息子も同然の間柄だ。

彼女は、この放蕩息子を麻薬や安酒の誘惑から守る
母親のような庇護者であり、
同時にかなり年上の恋人でもあった。

さて、二人の蜜月も6年になろうかと言う頃、
彼のオカンからふと相談を受ける。

富も名声も手に入れたけれど、
わたし最後にもうひとつだけ欲しいものがあるねん。
あのね、孫ちゃんが欲しいねん。

結婚させたいので、そろそろ息子を
返してもらえないかというのだ。
恋に溺れないというのが職業上の鉄則。
彼女は、友の願いを快く受け入れることにした。

お相手は、これまた名高い高級娼婦の娘だという。
同業者間の政略結婚だ。
若く美しい、実にお似合いのカップル誕生ではないか。

庇護者としては喜ばしいことなのに、
どういうわけか、彼を手放した彼女の心に
ぽっかりと穴が開いてしまうのだった。

物語は、シドニー・ガブリエル・コレット
同名小説をもとに、時代のあだ花として咲き乱れた
高級娼婦たちの斜陽を描いた切ないロマンス。

時と共に失われゆく若さ。
もう自分にはかつての輝きがないのだと悟ったとき、
彼女はどうするのだろう。

カネはあっても爵位を持たず、
いつまでたっても母の添え物に過ぎない。
大人になっても社会的立場や存在意義が見出せずに
苦悩し続ける子供たちが、
娼婦らの斜陽以上に哀れに映った。

ミシェル・ファイファー
キャシー・ベイツ
プライドと偏見」のルパート・フレンド
インフェルノフェリシティ・ジョーンズ
ディファイアンス」のイーベン・ヤイレ、
フランシス・トメルティ、
フランス組曲」のハリエット・ウォルター、
ベット・ボーン、アニタ・パレンバーグ共演。

原題「CHERI」
2009年 イギリス、フランス、ドイツ制作。
R-15+