おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

愛の監獄

暖かな春の陽気が続いている。
どこか霞んだ空の様子は飛ぶ花粉のせいだろうか。

映画「愛の監獄」を観た。

手錠をかけられた若い娘が、鉄格子に覆われた警察の護送車に乗せられてゆく。
ああ、若い身空で一体どんな罪を犯してしまったのだろう。
そんなシーンから物語は幕を開ける。

裁判中にある彼女は、収監されていた他の刑務所から、実家にほど近いここヴェルサイユ刑務所に送致されてきた。
そんな事情もあってか、動じることもなく身体検査も慣れたもの。

監房は当然のごとくガラの悪いオバハンばかりだが、順応性の高い彼女ならなんとかやっていけそうだ。
ただ、裁判の結果次第で12~15年と目されている刑期が今後どうなるかが気がかり。
幸い、ここの刑務所長は仕事熱心で、受刑者と真摯に向き合ってくれているようだ。

この人に取り入れば、裁判が有利になるかも。
きっかけは、彼女のそんな打算だったのかもしれない。

真面目な所長とはいえ、彼もひとりの男だ。
こうして個室において若い娘の身の上相談に乗っているうちに、ふと魔が差す。

受刑者と刑務官。
あってはならない、許されぬ関係だ。
家庭持ちでもある彼は、罪悪感に苛まれつつも引き返せぬ熱情に突き動かされてゆくのだった。

物語は、刑務所という隔絶された空間を舞台に、破滅的な恋に溺れてゆく男女をエロティックに描いたヒューマンドラマ。

恋も家庭も仕事も全て手に入れたい。
そんな男の狡さが見て取れる。
浮気をしている男の行動は、傍から見ると実に分かりやすいものだなと思った。

ドロドロの結末しかないと予測していたが、思いがけないさわやかなラストシーンに救われる。
若き主演女優アデル・エグザルホプロスの「アデル、ブルーは熱い色」に続く大胆な演技に目が釘付け。

ただ、随所にぼかしが入りかえってイヤラシイのが難点。
裸体の芸術的価値を損ねている。
我が国の映画界はいつまでこんな前時代的なことをやっているのだろう。

アデル、ブルーは熱い色」アデル・エグザルホプロス、
イヴ・サンローラン」のギヨーム・ガリエンヌ、
ステファニー・クレオ
アリエノール・ポワッソン、
マリー・リヴィエール、
ジュリー・ムーリエ共演。

原題「EPERDUMENT」
2016年 フランス、ベルギー制作。
R-15+

ソーシャルメディアのボタンがあちこち付いとるけど、イロイロ面倒やから押さんでええんやで。