おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

素晴らしきかな、人生

初夏を思わせる眩しい日差しの一日。
ホームセンターの店頭では、ずらりと並んだ色とりどりのアジサイが通りすがりのお客さんにおいでおいでをしている。

映画「素晴らしきかな、人生」を観た。

ここは、過去最高益達成の祝賀に沸く、ニューヨークの広告代理店。

人は常に愛を渇望し、時間を惜しみ、死を恐れる。
これら3つが人と人とを繋げるキーワードだと社員を前にいきいきとスピーチをする、カリスマコピーライターで創業者でもある男の姿から物語は幕を開ける。

それから3年後。
彼の世界はドミノのように崩れ去り、生ける屍と化していた。

2年前、6歳になる愛娘を亡くしたのだ。
以来、心を閉ざし、自暴自棄の毎日を送っている。

現実を受け入れることが出来ず、かつて自らがスピーチで語った「愛」「時間」「死」という抽象概念に対して恨みつらみの手紙をせっせと書いている彼は、確実に心を病んでいる。

社の稼ぎ頭であるカリスマコピーライターがこの調子なものだから、大口顧客が続々と去り、ジリ貧になるのはもはや時間の問題。

そこで、共同経営者であり友人でもある取締役会の面々は、買収のオファーがあるうちに社を売ってしまおうと考えた。

まとまったカネが手に入るだけではない。
病んでいる事実を彼に納得させ、治療を受けさせるためにも必要なプロセスだと思ったのだ。

しかし、そのためには、彼に筆頭株主の議決権を行使する能力がないと証明する手立てが必要だ。

そこで友人たちは、「愛」「時間」「死」の抽象概念があたかも人間の姿をかたどって現れたかのように、舞台俳優らに頼み込んで一芝居打ってもらうことにした。

たとえ諭すことは出来なくとも、見えない存在と対話する彼の姿は、病んでいる十分な証拠になりうるだろう。

さあ、果たして友人たちの作戦は上手くいくのだろうか。

物語は、クリスマスシーズンのニューヨークを舞台に、失意のどん底にある男に舞い降りた奇跡を描く心温まるファンタジックなヒューマンドラマ。

どうか、あのしとを助けてあげて!
そんな人々の願いを汲んだ守護天使がクリスマスに奇跡を起こす、「素晴らしき哉、人生!」のリメイク作品だろうか。
ストーリーは大胆にアレンジされているがテーマも邦題タイトルもほぼ同じだ。

人が人を思う気持ちに触れ、その温かさに目頭が熱くなる。
案外我々も、日々どこかの誰かの祈りを受け、人生の節目節目では人の姿を借りた守護天使に出会っているのかもしれない。

あなたをいつも見守っているよ。
孤独になりがちな迷える現代人に、そんなメッセージが込められた素晴らしい一作。

ウィル・スミス、
グランド・ブダペスト・ホテル」のエドワード・ノートン
ケイト・ウィンスレット
「オデッセイ」のマイケル・ペーニャ
ヘレン・ミレン
キーラ・ナイトレイ
メイズ・ランナー」のジェイコブ・ラティモア
28日後...」のナオミ・ハリス共演。

原題「COLLATERAL BEAUTY」
2016年 制作。