おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ドクター・ストレンジ

日差し暖かな晴天の一日。
桜の木々も新緑の若葉になり、通りの様相がガラリと変わった。

映画「ドクター・ストレンジ」を観た。

ここニューヨークに、凄腕の脳神経外科医がいる。
他の医師なら諦めてしまうような患者でも、彼のゴッドハンドに掛かれば見事に蘇生させてしまう。

人の生死を自在に操る感覚は、さながら神といったところだろうか。
そんなわけで、自分の腕に酔いしれる彼は、いつしかすっかり天狗になっていた。

ところが人生、予期せぬことが起きるものだ。

交通事故に遭った彼の両手は傷つき、もはやペンを握ることすら出来なくなってしまった。
医師としては致命的だ。

自分だったら上手く治せるのに。
くそー!どいつもこいつもダメ医者ばかりじゃねえかッ!

手術のままならなさに苛立ちは募る一方。
しかし、同僚たちにいくら罵声を浴びせても手の施しようがない。
湯水のごとく治療につぎ込んだ資金もついに底を付いてしまったよ。

かくして絶望の淵にあった彼は、現代医学では説明の付かない奇跡的な回復を遂げた患者の話をふと耳にする。

ホンマやろか?

藁をもすがる思いで、患者がいうカマー・タージと呼ばれる場所を目指し、ネパールはカトマンズへ降り立つ。

そこで彼を待ち受けていたのは、異なる次元からエネルギーを引き出し、楯や武器を生成しては空間を自在に操る、すげー師匠を頂点とする魔術集団であった。

彼らは一体何者なのだろう。
それに何より、彼の両手は治るのだろうか。

物語は、再起を図ろうとする医師が、異次元からの脅威に立ち向かう魔術集団の戦いに巻き込まれてゆく姿を描いたアクションファンタジー。

すげー師匠のもと、とんとん拍子で異次元からエネルギーを引き出す技を習得してゆく主人公。
何のためにこのチカラを使うのか。
自分を救うことがひいては皆を救うことだと信じて疑わなかった彼が、不条理ともいうべき世の理を体験し、その驕り高ぶった我が身を見つめなおしてゆく。

我々は時間によって支配されている。
ダークサイドに堕ちた弟子の言葉が、観る者の心にも揺さぶりをかけてくる。
でもね、生も死も存在しない、時間の無い世界は永遠の楽園にはなりえない。
それは何も存在しない虚無そのものではないか。
とんでもなくワルな暗黒野郎の特殊詐欺に、主人公もろとも危うく騙される所であった。

空間がダイナミックに折りたたまれ、構造物がぜんまい仕掛けの機械のように動き出し、重力場が自在に変化する。
インセプション」を髣髴とさせる、この鏡の結界のシーンが作品のここ一番の見せ場だ。
ストーリーにはさほど奥行きが無いため、もっぱらこれら魔法や結界といった映像面に頼りきっている印象。

エンドロールに次回作をにおわせるオマケが差し込まれている。
この、なんでもかんでもヒーロー大集合に持っていこうとする、商魂たくましいマーベルのつくり方が嫌いだ。
マッツ・ミケルセンベネディクト・カンバーバッチが出演していなければ観なかったであろう一作。
残念。

ベネディクト・カンバーバッチ
アバウト・タイム 愛おしい時間について」のレイチェル・マクアダムス
「カットバンク」のマイケル・スタールバーグ
オーバードライヴ」のベンジャミン・ブラット、
ティルダ・スウィントン
マッツ・ミケルセン
「シークレット・アイズ」のキウェテル・イジョフォー
「オデッセイ」のベネディクト・ウォン共演。

原題「DOCTOR STRANGE」
2016年 制作。