おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ウォー・ドッグス

暖かな薄曇りの一日。
そろそろフウセンカズラの種まきをしたい頃だが、このところ風が強くて作業がままならない。

映画「ウォー・ドッグス」を観た。

時は2008年。
廃墟と化した倉庫群の一角に車が停止した。
覆面の三人組によって、トランクから荒々しく引きずり出される青年がいる。

助けてくれ!
アルバニア語はわからねえッ!

必死で命乞いをする彼に拳銃が突きつけられる。
ああ、なしてこんなごどになってしまったんだべ?
そんなシーンから物語は幕を開ける。

時を遡ること3年前。
大学を中退した22歳の彼は、ここマイアミビーチで金持ち相手のマッサージ療法士をしていた。

もちろんこんな仕事に満足はしていない。
野心家の彼は全財産をつぎ込み、高級シーツを老人ホームに売る新たなビジネスを始めた。

しかし彼は顧客のニーズを掴みきれていなかった。
売れぬ大量の在庫を抱え行き詰っていたとき、ふと高校時代の親友と再会する。

ワルだった親友はあいかわらずぶっ飛んだ奴で、叔父の経営する銃砲店から独立し、このたびマイアミで自分の店を持つのだという。

シーツ売るより絶対儲かるよ。
一緒にやろうぜ。

こうして、信頼できるビジネスパートナーを探していたという親友に誘われ、彼は国際武器商人の道に足を踏み入れた。

顧客はなんと、米国防総省だという。

国防総省イラク軍再編にあたって、軍事大手ハリバートンを経営する時の副大統領チェイニーとの癒着問題が表面化していた。
政府関係者の独占状態ってのはさすがにマズイよな。

そこでブッシュ大統領の肝入りで、国防総省のインターネット武器入札に、実績の無い中小企業も参加できることになったのだ。
これは、彼らのような小っさい事業者にとっては千載一遇のチャーンス!

世界の武器製造メーカーから仕入れ、国防総省に売る。
チョロイ仕事ではないか。

さっそくライバルより低めの入札額を提示し、みごと大口契約を勝ち取った。

キャッキャと浮かれる彼らであったが、所詮はシロウト。
刻々と変化する国際情勢や法律には疎かった。

イタリアでイラクへの武器禁輸法案が成立したのだ。
イタリアの製造メーカーからイラク駐屯の米軍に送るはずだった武器が届けられなくなっちまったよ。

なあに、ヨルダン経由でイラクに密輸すればいいんじゃね?

ところが困ったことになった。
送ったブツがヨルダンの税関で押収されちまったじゃねえか。

さあ、大変。

契約違反の業者は今後入札から排除されちまう。
武器商人としての進退に関わるのだ。
ここはなんとしても、ブツをイラクの米軍に届けねばなんねえ。

こうして急ぎヨルダンはアンマンに飛んだ彼らの運命のほどはいかに。

物語は、戦争特需に食らいつく若造たちの顛末を描いたクライムストーリー。

人々が必要としているモノを売る。
商売の基本としては間違ってはいない。
でもね、それが武器弾薬だったら?

戦争は、その裏で莫大なカネが動く経済行為そのものだという。
シーツを売るように武器売買から密輸に手を染めてゆく若造たちの姿を追いつつ、多くの人々を苦しめる虚しい経済循環の一部を垣間見る。

息をするように嘘を付く彼ら。
カネの魔力の前では罪悪感など無に等しい。
我々はこの終わりなき経済循環のために、戦争の歴史を繰り返しているのだ。
今日も世界のどこかで武器弾薬が大量に消費され、武器商人がほくそ笑む。
軽薄なリズムで世の核心ともいうべき暗部に触れる一作。

「セッション」のマイルズ・テラー
「トゥルー・ストーリー」のジョナ・ヒル
「エクスポーズ 暗闇の迷宮」のアナ・デ・アルマス、
インデペンデンス・デイ リサージェンス」のパトリック・セント・エスプリト、
「アイアンマン」のショーン・トーブ、
ホステージ」のケヴィン・ポラック、
JB・ブラン、
ガブリエル・スパイユ、
ブラッドリー・クーパー共演。

原題「WAR DOGS」
2016年 アメリカ、カンボジア制作。
PG-12

ソーシャルメディアのボタンがあちこち付いとるけど、イロイロ面倒やから押さんでええんやで。