おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ターゲット

朝方降っていた雨も上がり曇り空が広がる。
日差しが足りず、やや気温低めの一日。
ヤマザキ春のパンまつり二枚目のお皿シールが21点になった。
締め切りまであともう少し。

映画「ターゲット」を観た。

ここはロンドンのアパートメントが立ち並ぶ一角。
軽やかな足取りでその中のひとつに立ち入る初老の男。

一寸間をおいた後、入り口の真上から人が降ってくるではないか。
先ほどの男は、何事も無かったかのように颯爽と建物を後にする。
そんな手際の良い、彼の仕事っぷりから物語は幕を開ける。

54歳になる彼は、由緒あるヒットマンの家系に生まれた。
ギャラはトップクラス。
名の通ったこの道一筋のベテランだが、その素顔を知るものはいない。
業界のレジェンドといったところだろうか。

母が老人ホームに入所して以来、主を失ったかのような彩のない田舎の屋敷でひとり暮らしている。
話し相手がおらず、時折見えない誰か、つまり観客に向かってあれこれ語りかける癖があるようだ。

・・・オッサン、大丈夫やろか?

さて、そんなレジェンドに新たな仕事の依頼が舞い込んだ。

レンブラントの贋作を本物と偽り、闇業者に売りつけようとしたすり替え詐欺師の女がいた。
まんまとカネを騙し取られた闇業者は怒り心頭。
この女の暗殺を彼に依頼したのだ。

彼にとってはたやすい仕事だ。
さっそくサイレンサー付きの仕事道具一式を引っさげ、街行く女の背後を狙う。

ところがこの女、スリの腕前もなかなかのもので、雑踏の中、手を変え品を変え変わり身のごとく見事に彼を巻いてしまう。
プロの自分を翻弄する大胆不敵で鮮やかな身のこなし。
そして何よりキュートではないか。

そう。
彼は仕事柄にもなくキュートなモノに弱かったのだ。

彼女をたいそう気に入ってしまい、引き金を引くのを止めてしまった。

しかし、それは彼が積み重ねてきた信頼というキャリアを失うことだ。
それに依頼者の怒りは収まらない。

家名に泥を塗る気かい!?
老母に詰め寄られた彼は、気を取り直し女の暗殺に向かう。

こうして再び狙いを定めたその瞬間、思いがけなく二番手のヒットマンが現れるではないか。

すわ、三つどもえ!

彼の拳銃は迷うことなく二番手のヒットマンを撃ち抜くのだった。

物語は、ひょんなことからターゲットのはずだった女のボディーガードになったヒットマンの顛末をコミカルに描いたクライムアクション。

ターゲットの女と、たまたま現場に居合わせた若造を連れ逃亡者になってしまうレジェンド。
成り行きとはいえ命を狙われる羽目になったこの孤独な三者の間に、いつしか不思議な絆が芽生えてゆく。

人がばたばたと殺されてゆくものの、犯罪の後ろめたさや残酷さを全く感じさせない、そのリズミカルで事も無げな独特の空気感が見どころ。
若干の中だるみはあれど、コメディとしてはそこそこテンポも良く及第点。
ビル・ナイのファンには嬉しい、見逃せない一作。

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」のビル・ナイ
マジック・イン・ムーンライト」のアイリーン・アトキンス、
ガール・オン・ザ・トレイン」のエミリー・ブラント
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のロリー・キニア
「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」のルパート・エヴェレット
ヴェニスの商人」のグレゴール・フィッシャー、
「バレット・オブ・ラヴ」のルパート・グリント
「アメリカン・レポーター」のマーティン・フリーマン
「ルート・アイリッシュ」のジェフ・ベル共演。

原題「WILD TARGET」
2010年 イギリス、フランス制作。