おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

プロヴァンスの休日

雨は上がったが、まだ空はどんよりと雲に覆われている。
ほんの数週間で公園の緑が鬱蒼とし始め、ツツジがちょうど見ごろを迎えていた。

映画「プロヴァンスの休日」を観た。

列車の窓に寄りかかって眠りこける幼い少年。
街を過ぎ、トンネルを過ぎ、緑広がる郊外へと車窓の景色は巡りに巡るよ。
彼は一体どこまで行くのかな?
そんな可愛らしいオープニングロールから物語は幕を開ける。

列車はアビニヨンの駅に到着した。
旅の道連れは、彼のばあちゃんと、年の離れたハイティーンの兄と姉。
みんな何か言い争っているようだけど、耳の聴こえない彼にはよく分かんない。

少し前に離婚した少年の両親。
急な仕事で母ちゃんがカナダへ行くことになったため、この夏休みの間、子供たちをプロヴァンスの祖父母のもとへ預けることになったのだ。

ところがね、母ちゃんは17歳で恋人と家出して以来、実家とは絶縁状態にあったもんだから、ばあちゃんはともかく、孫たちはじいちゃんと会うのはこれが初めてだった。

そんなわけで駅には、仁王様みたいにでかくておっかねえツラしたじいちゃんが待ち構えていたよ。

歓迎されてないってのがその威圧的で粗暴な態度からも伝わってくるようだ。
ああ、こんなひなびた田舎で偏屈なじいちゃんと2ヶ月も過ごさなくてはいけないなんて。
パリっ子の兄や姉たちは心底うんざりしていた。

でも少年はじいちゃんの大声も聴こえないから、わりと平気なもんだ。
有機農法でオリーブ園を営むじいちゃんの畑仕事が珍しく、たちまち興味を示す。

一方、自分たちのライフスタイルを乱されたくない兄や姉は、イマドキの子らしくスマホやパソコンに夢中。
じいちゃんは、心ここにあらずといった気の利かない兄の態度に苛立ち、姉に至っては、家出した娘と重なるものだからつい厳しくなりがちだ。

さあ、口を開けば大喧嘩。
そんなじいちゃんと孫たちの夏休みの行方はいかに。

物語は、家族の再生をテーマに、陽光眩しい南仏プロヴァンスの地を舞台に繰り広げられる、じいちゃんと孫たちのひと夏の紆余曲折を綴ったヒューマンドラマ。

難しい年頃の孫たちに振り回されてゆく中で、偏屈なじいちゃんもまた自身を見つめなおす機会を得てゆく。

旅心を誘うプロヴァンスの眩い風景が、いささか出来過ぎ感のあるストーリーを大いに補っている。
子供と老人で安易な感動話に持っていこうとする作り手のあざとさが透けて見える。
思いのほか奥行きのない退屈な一作。
残念。

ジャン・レノ
「ハモンハモン」のアンナ・ガリエナ、
ルーカス・ぺリシエ、
クロエ・ジュアネ、
ユゴー・デシュー、
オーレ・アッティカ
トム・リーブ、
ユーゲ・オフレ、
シャルロット・ド・テュルケーム、
ジャン・ミシェル・ノワリー共演。

原題「AVIS DE MISTRAL」
2014年 フランス制作。