おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ザ・コンサルタント

朝からすっきり青空が広がる晴天の一日。
種を蒔いてからほぼ十日目。
蒔き時が早すぎたかと半ば諦めかけていたフウセンカズラがひょっこり芽を出した。

映画「ザ・コンサルタント」を観た。

時は1989年。
神経発達障害を抱えた子ども専門施設に、我が子を連れ相談に訪れた夫婦がいる。

ソファーに身をうずめた弟がじっと見つめる兄は、先ほどからしきりに身体を揺すり、童謡のような歌詞をつぶやきながらジグソーパズルに熱中している。

ああ、この兄が問題を抱えているのか。

最後の1ピースが見あたらない兄はたちまちパニックを起こした。
彼にとって、一度始めたことを完結させないことには気がすまない。
それを見ていた入院中の少女がテーブル下に落ちたピースを拾い上げ、ようやく事なきを得たようだ。

こうして最後の1ピースが埋められたジグソーパズル。
おや?
なんとそれは、パズルの裏面ではないか。
少年は絵柄も見ずにパズルを完成させたというのか。
我々の理解を超えた天才の一端を目の当たりにするシーンから物語は幕を開ける。

時は変わって現在。
ここ財務省の局長室に優秀な女分析官が呼ばれた。
引退間近の局長は、彼女に個人的な仕事を命じる。

ある男の正体を知りたいのだという。

それは、当局が世界各地で行われる闇取引の場を捉えた写真だった。
いずれも同じ男の後姿が映り込んでいる。
彼は、世界中のマフィアや犯罪者といった裏社会の経理を一手に請け負う会計士だという。

顧客の資金洗浄の過程を知り得る会計士は実に危うい商売だ。
証拠隠滅のため仕事が済んだら処分されてもおかしくない。
なのになぜ彼は、殺されずに済んでいるのだろう。

局長は、その真相が知りたい。
そこで、この顔も名前も分からぬ謎めいた男を捜せという。

女分析官は経歴詐称を逆手に取られ、職権乱用も甚だしいこの局長の命令で、脅されるようにして捜査に挑むのだった。

物語は、高機能自閉症を抱える天才会計士の素性とその生き様に迫るスリリングなクライムサスペンス。

この残酷な世界で、繊細な人々が生きてゆくにはどうしたらいいのだろう。
父に与えられた処世術で生きてゆく天才の半生を通し、異質なものを排除し、可能性を封じ込めようとする社会のあり方に一石を投じつつ、普通って何だろうと我々に問いかける。

現在と過去を行き来しつつ、会計士と捜査官、二つの視点によって紡がれる複雑なストーリーに目が釘付けだ。
それは欠けたパズルのピースを手繰り寄せながら一枚の絵を完成させてゆくような感覚とどこか似ている。

最後の1ピースが埋まる感覚が心地よい、よく練られた素晴らしい一作。

ゴーン・ガール」のベン・アフレック
ロン・プラザー、
スーザン・ウィリアムズ、
ハングオーバー!」のジェフリー・タンバー、
「ボーダーライン」のジョン・バーンサル
インターステラー」のジョン・リスゴー
「31年目の夫婦げんか」のジーン・スマート、
アンディ・アンバーガー、
「イントゥ・ザ・ウッズ」のアナ・ケンドリック
「セッション」のJ・K・シモンズ
シンシア・アダイ・ロビンソン、
「ミスト」のロバート・C・トレヴァイラー、
ジェイソン・デイヴィス、
アリソン・ライト共演。

原題「THE ACCOUNTANT」
2016年 制作。