大荒れの昨日とは打って変わって天気は回復。
暖かく穏やかな晴天の一日。
映画「マジック・マイク」を観た。
妖しげなスポットライトが照らし出すステージ。
おさわりは基本的にダメだよん。
熱狂する女性客を煽るように、半裸のダンサーが観覧ルールのおさらいをする。
そんな男性ストリップ劇場から物語は幕を開ける。
ここはフロリダ州の海沿いの町タンパ。
アメフトの奨学生で入った大学を中退し、自分探しをしている19歳の青年がいる。
自由を愛する彼は、ネクタイを締めるような仕事はまっぴらご免だという。
プロゲーマーか声優になりたい。
そんな現実味のない夢を語る弟を、一緒に暮らす姉は心配げな面持ちで見つめている。
バイト先の建築現場も、些細な誤解から初日でクビになってしまった。
世渡り下手なのか、はたまた運が悪いのか。
でもね、その現場で若手の瓦葺職人に出会った。
彼は起業家で手広く商売をやっており、瓦葺も仕事のひとつに過ぎないのだという。
へー、何の特技もない自分とはえらい違いだ。
面倒見がいい彼を、尊敬の眼差しで見つめる青年。
ほどなく青年は連れられて行った店で彼のもうひとつの顔を知る。
それは冒頭の男性ストリップ劇場。
彼はマジック・マイクのステージネームを持つ、劇場のメインダンサーだった。
うお、ストリッパーかあ。
女性客が熱狂する場の空気に怯んだものの、ちょっとしたアクシデントから急遽飛び入りでステージに立ったことがきっかけで、青年の中の何かが目覚めた。
ここにようやく自分の居場所を見つけたような気がしたのだ。
地に足の着いた仕事を望む姉は良い顔をしないが、建築現場とはまるで稼ぎが違う。
しかも女にモテモテだ。
ショーの練習は厳しいが楽しい仕事ではないか。
とはいえ、酒に女にクスリにと誘惑が多い世界。
まだ自制心のない青年には危うい。
それに容色を売りにした商売は、若さという期限付きだということも忘れてはいけない。
青年をこの道へと招いたマジック・マイクもまた、堅実な人生を望みながらも得られず、ストリッパーという仕事で糊口を凌ぎ、もがき続けているひとりであった。
物語は、過激なショーをまじえながら、男性ストリッパーの世界に生きる若者たちの紆余曲折を描くヒューマンドラマ。
いったん社会のレールから外れてしまうと夢を叶えるのは難しい。
青年に、生き辛さを感じている自身の姿を投影するマジック・マイク。
成功への階段を駆け上がってゆく「チョコレート・シティ」とはだいぶ趣が異なり、社会に搾取される若者たちの悲哀を滲ませている。
まっとうに生きたい。
そんな若者たちの切実な思いが伝わってくる一作。
役柄に合わせて鍛え上げたマシュー・マコノヒーのセクシーな肉体美が見どころ。
「TIME/タイム」のアレックス・ペティファー、
「エンド・オブ・ウォッチ」のコディ・ホーン、
「フォックスキャッチャー」のチャニング・テイタム、
マシュー・マコノヒー、
マット・ボマー、
ジョー・マンガニエロ、
「きのうの夜は・・・」のアダム・ロドリゲス、
「ジョン・ウィック」のケビン・ナッシュ、
ガブリエル・イグレシアス、
「クレイジー・パーティ」のオリヴィア・マン、
ライリー・キーオ共演。
原題「MAGIC MIKE」
2012年 制作。
R-15+