おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ヘイル、シーザー!

湿気を吹き飛ばす梅雨の晴れ間の一日。

映画「ヘイル、シーザー!」を観た。

・・・妻との約束を破り、今日も吸っちまいました。

ここはカトリック教会の告解室。
禁煙が出来ない彼は、このところ毎日通い詰めているという。
そんな信心深い中年男の姿から物語は幕を開ける。

彼は、ハリウッドの映画撮影所で制作管理部長を勤めている。
日々撮影現場から上がってくる厄介な問題に対処しなければならず、24時間気の休まる時がない。

そんなわけで、ついついタバコも吸っちゃうってわけさ。

さて、巨大な撮影所ではいくつものプロジェクトが同時進行で撮影されている。

中でも、一番の目玉タイトルは「万歳、皇帝!キリストの物語」。
ベテランのスターを起用し、制作費を惜しげもなくつぎ込んでいる、社運をかけた歴史スペクタクルだ。

エスの出現を描くにあたって各教派の顧問と折衝を重ね、つつがなきよう撮影を進めてきた。

ところがここにきて、主演のスターが姿をくらましてしまったよ。

酒癖の悪い奴のことだ。
どっかの酒場で飲んだくれていやがるに違いない。

しかし、酒場を探せどいない。

時を置かずして、高額な身代金要求が彼のもとに舞い込んでくるのだった。

物語は、40年代のハリウッドを舞台に、仕事に忙殺される中年男の一日を、華やかな映画の裏側で繰り広げられるスキャンダラスな人間模様をまじえて描いたシニカルなコメディ。

酒やクスリに溺れる俳優たち。
シングルマザーの未婚女優。
アクション西部劇からメロドラマに転向した訛りのひどい大根俳優。
映画監督の不倫。
ゴシップを嗅ぎ付けてくるジャーナリスト。
映画界に蔓延る共産主義思想。

さあ、次々と彼の前に立ちはだかるこれら難題が、映画マジックで誇張された美に仕立て直されてゆく様子が見どころ。

映画に、神に、思想に、あるいは社会的意義に。
人は拠り所を求めているのだと物語はいう。
ワーカーホリックな彼自身も、迷えるヒツジのごとく神にすがりながら生きている。

大きな笑いのない地味なつくりだが、随所に小技が光る。
資本主義者も共産主義者も同様にこき下ろしている点が痛快。

ハリウッドあるあるを皮肉たっぷりで暴露するかのような一作。
もしや、あの名優が・・・なーんて、あれこれ邪推してしまう。

「ボーダーライン」のジョシュ・ブローリン
ヴェニスの商人」のヘザー・ゴールデンハーシュ、
マネーモンスター」のジョージ・クルーニー
イノセント・ガーデン」のオールデン・エアエンライク、
グランド・ブダペスト・ホテル」のレイフ・ファインズ
「LUCY ルーシー」のスカーレット・ヨハンソン
「ウォー・ドッグス」のジョナ・ヒル
ドクター・ストレンジ」のティルダ・スウィントン
「プロミスト・ランド」のフランシス・マクドーマンド
マジック・マイク」のチャニング・テイタム共演。

原題「HAIL,CAESAR!」
2016年 制作。