おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ザ・タウン

昼前から雨が降り始めた。
どんよりした空模様の一日。

映画「ザ・タウン」を観た。

ボストンの一角、チャールズタウン。
肉体労働者が住むこの地区は、銀行と現金輸送車強盗が世界で一番多いといわれている。
そして強盗は、職業のように父から子へと受け継がれるのが常だという。
そんな前置きから物語は幕を開ける。

今まさに、4人組の若者によって銀行強盗が行われている。
司令塔役の沈着冷静な男が仲間に細やかな指示を下す。

いいか、極力人を傷つけるな。

彼らは親の代からの顔なじみ。
そんじょそこらの寄せ集め強盗とは結束力が違う。

いつものように手際よく仕事をこなす彼らであったが、通報装置が作動したことでキレやすい仲間のひとりが逆上。
行員をしたたかに殴りつけた上、女支店長を人質に連れ去った。

ほどなく彼女は無事解放されたものの、傷害事件に発展したことでFBIはいよいよ本腰を入れて捜査を始める。

男の恐れていた事態になってしまったのだ。
しかも、解放した人質が同じチャールズタウン在住であることを知る。

マズイ。
顔を見られたかもしれない相手に再び出くわす可能性があるではないか。

暴力を好まぬ男は、始末をつけるという仲間をなだめ、強盗事件以来PTSDに苦しんでいた彼女に何食わぬ顔して近づく。

彼女は、よそ者のエリートという肩書きから見える印象とは程遠く、ガキの頃、彼もお世話になった地域の子供スポーツ施設で熱心なボランティアをしている心優しい女性だった。

めっちゃええひとやんけ。
こんな女性を恐ろしい目に遭わせてしまったのか自分。

罪悪感が恋に転じるのにさほど時間はかからなかった。
そして、アウトローな人生を変えたいとの思いが以前にも増して強くなった。

しかし彼は、彼女に真実を告げることなど出来やしない。
また、FBIはもちろんのこと、仲間や地域の顔役ともいうべきボスが強盗の司令塔たる彼を見逃してくれるわけがないのだった。

物語は、搾取される人々をテーマに、下町にはびこる救いのない支配構造を描いた社会派クライムアクション。

地域に根ざし、麻薬と暴力で支配するギャングの前では法律さえも無力だ。
従って、住民は家族に危害が及ぶのを恐れ、口をつぐみ言いなりになるしかない。
自由な人生を選べない、生まれながらにして支配構造の末端に組み込まれている人々の悲しい生き様を垣間見る。

司法取引を持ちかけられても仲間を売らず、黙って収監されている親父が本当は何を守っていたのか。
作品中ではあえて語られなかったが、想像に難くない。
言葉や態度とは裏腹なその胸中を思うと悲しみがこみ上げてくる。

ややもすれば強盗劇による派手なアクションに目を奪われがちだが、感情をほとんどあらわにしない主人公の静かな怒り、そして観客の想像力にまかせた演出が光る一作。

ザ・コンサルタント」のベン・アフレック
「メッセージ」のジェレミー・レナー、
スレイン、
オーウェン・バーク、
ザ・ギフト」のレベッカ・ホール
「アデライン、100年目の恋」のブレイク・ライヴリー
イーオン・フラックス」のピート・ポスルスウェイト
アメリカを売った男」のクリス・クーパー
「Mr.&Mrs.スパイ」のジョン・ハム
「プロミスト・ランド」のタイタス・ウェリヴァー共演。

原題「THE TOWN」
2010年 制作。
PG-12