おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ヘル・レイザー

穏やかな晴天の一日。
フウセンカズラがだいぶ出揃い、ヒゲのような弦を伸ばしてきた。

映画「ヘル・レイザー」を観た。

ここは混沌としたアジアの街角。
カフェのテーブルに札束を積み上げ、あやしげな東洋人から装飾がなされた立方体の小箱を買い求める男の姿がある。

どうぞ、これはあなたのものだ。
・・・ずっと前から。

売り手の東洋人は意味ありげな言葉をつぶやく。

こうして念願の小箱を手に入れた男は、儀式さながらにうやうやしく小箱の模様をまさぐる。
すると小箱は複雑なカタチに変形。
ああ、これは仕掛けが施されたパズルだったのだ。

一体何が起こったというのだろう。
次の瞬間、無数の鉤爪で皮膚を切り裂かれる男の絶叫が響き渡った。

荒れ果てた家の扉の奥。
血が滴る無数の鎖と鉤爪が宙を舞い、そこらじゅうにおびただしい肉片が散らばる。
身の毛もよだつ拷問部屋ではないか。

肉片は先ほどの男の成れの果てだろうか。
それを見つめる異形の者がパズルを元の立方体に戻すと、恐怖の館は何事も無かったかのようにただの荒れた空き家に戻った。
そんな謎めいたシーンから物語は幕を開ける。

さて、その空き家に夫婦が越してきた。
10年ほど空き家だった夫の生家だという。
おや?
自堕落な兄が住み着いていたのかあちこち荒れ放題だ。
しかし、兄の姿は見当たらない。

おっと、家具の運搬作業中にうっかり夫が怪我をしてしまったよ。
大変、床に血だまりが出来るほどの出血だ。

すると、床板がまるで意思を持っているかのように血だまりを残らず吸い取ってゆくではないか。
その正体は床下に張り付く肉片。

血を吸ったそいつは不気味な鼓動を始めるのだった。

物語は、パズルの妖精たちが封印を解いた人間に試練を与える、狂気と欲望のオカルトスプラッター

究極の快楽。
それは永遠に肉体を引き裂かれる苦痛と表裏一体だという。
そんな理解しがたいマゾヒズムの境地を見せ付ける。

伯父が煉獄を抜け出したことをなぜ姪っ子が知っていたのか腑に落ちない。
シナリオにやや難あり。

異形の妖精・・・セノバイトたちは、いずれもどこかで見たような既視感を覚える。
これおそらくホラー映画やゲームに登場するクリーチャーたちの元ネタに違いない。
そういった観点からすれば、後の作品に影響を与えた偉大な一作ともいえる。

あまりにグロテスクで冒頭から挫折しそうになる。
見てはならぬ作品を紐解いてしまったような気がする。
女性向けではなかった。
残念。

ショーン・チャップマン、
アンドリュー・ロビンソン、
「変態小説家」のクレア・ヒギンズ、
アシュレイ・ローレンス、
ロバート・ハインズ共演。

原題「HELLRAISER」
1987年 イギリス制作。
R-15+