おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

スノーデン

湿気を含んだ風が吹く、やや蒸し暑い一日。

映画「スノーデン」を観た。

時は2013年6月。
人々が行き交う香港のホテルのロビー。
そわそわと人波に目を走らせている男女がいる。
ドキュメンタリー映像作家のローラ・ポイトラスと、ガーディアン紙のコラムニスト グレン・グリーンウォルドだ。

ほどなくルービックキューブを片手で弄ぶ、色白で華奢な若い男が近づいてきた。
二人が待ち合わせをしていた男だ。
彼らはあらかじめ決められていた合言葉を交わすと、ルービックキューブ男に連れられてホテルの一室に向かう。

部屋に入るなり、男はあいさつもそこそこに二人の携帯を預かると電子レンジの中に入れた。

これで電波を遮断するのだという。

彼の名はエドワード・スノーデン
29歳になるNSAの契約スタッフだという。
このたび二人にどえらい情報をもたらした人物だ。

ジャーナリストたちは、落ち着き払った若き情報源とは違い緊張の面持ちだ。
そこへ、同じくガーディアン紙のベテラン記者イーウェン・マカスキルが加わり、いよいよインタビューが始まる。

時を遡ること2004年。
他の若者らと同じく9.11に影響を受けた彼は、陸軍特殊部隊で訓練に励んでいた。
祖父は軍隊上がりのFBI。
親父は沿岸警備隊
そんな家庭環境もあってか国家に尽くすのはごく普通のことだった。

ところが、その心にヤワな身体が付いてゆかず、訓練の怪我が元であえなく除隊になってしまったよ。

やがて、仕事を模索する彼が辿り着いたのが特技のインターネット技術を生かせるCIAだ。
彼は高校中退であったが、北京語と日本語が堪能な上、ネットワーク技術に関してはずば抜けた天才。
CIAにはうってつけの人材だった。

やがて彼は、赴任先でNSAが極秘に構築、運用するシステムを目の当たりにする。
テロを防ぐという名目のもと、世界のあらゆる人々のメール、通話を検索抽出。
それは個人の日常から交友関係までがまるっとお見通しになってしまう恐るべきシステムであった。

なんか、これってやばくね?

後ろめたいことは無いにせよ、私生活を第三者に覗かれるのはいい気分ではない。
信じる国家が密かに犯罪行為を行っている。

こうして彼の心に矛盾が生じてゆくのだった。

物語は、世界を震撼させたスノーデン事件の経緯を描いた社会派ドラマ。

どういった経緯で国家機密を暴露するに至ったのか、プライベートなエピソードを交えながら、愛国心溢れる彼の心の変遷を見つめてゆく。

彼は、国家機密を盗み暴露したとんでもないハッカーなのか。
それとも国家による人権侵害を告発する憂国の士なのだろうか。
観る者に問いかける。

米国に逆らえば日本は終わると彼は警告する。
たちまち文明の無い生活に逆戻りだという。
対等な同盟国であるはずの我が国になぜ主権が無いのだろう。
常々感じていたそんな疑問の答えがここにあった。
我々は生きるために、かの国に媚びへつらいみかじめ料を払い続けなくてはいけない運命にあるようだ。
他者を理解するためにまず信じようとする、お人よしな国民性がいけないのだろうか。
このとてつもなく暗い未来予想図にどんよりと落ち込む。

我々庶民が出来るささやかな抵抗は、パソコンと携帯のカメラにシールを貼ることくらいしか残されていないのかも。

ザ・ウォーク」のジョセフ・ゴードン・レヴィット、
「ダイバージェント」のシェイリーン・ウッドリー
「バレット・オブ・ラヴ」のメリッサ・レオ
マージン・コール」のザカリー・クイント
「ビジネス・ウォーズ」のトム・ウィルキンソン
ニコラス・ケイジ
ボヴァリー夫人」のリス・エヴァンス
パーフェクト・ゲッタウェイ」のティモシー・オリファント
「ゴート」のベン・シュネッツァー、
キース・スタンフィールド共演。

原題「SNOWDEN」
2016年 制作。
PG-12