おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

夜に生きる

連日狂ったような暑さが続いている。
愛知県の小学校で子供が熱中症で亡くなった事件を踏まえ、上からお達しがあったのだろうか。
熱気の中、野球やサッカーをしていた学生たちは今週半ばから姿を消し、グランドは静まり返っている。
なぜあんな苦行みたいな練習をするのか常々疑問に感じていたので、内心ホッとしている。

映画「夜に生きる」を観た。

時は1917年。
フランスでドイツと戦った。
大勢の善人が死ぬ不条理な戦いだった。
世界のルールはデタラメだ。
なんせ作った連中が守らないのだから。
以来、二度と命令には従うまいと誓った。
そんな、兵士から無法者になったのだという男の口上から物語は幕を開ける。

それから10年。
彼は、ここボストンで強盗に明け暮れる日々を送っていた。
街を二分してしのぎを削るアイリッシュマフィアとイタリアンマフィア、そのどちらにも属さない一匹狼だ。
いわゆる半グレってやつさ。

ところが惚れた女がちとマズかった。
アイリッシュマフィアのボスの情婦だったのだ。
人目を忍んで逢瀬を重ねる二人であったが、ボスにバレれば共に命が危うい。

そこで彼は、最後の大きなヤマでひと稼ぎしたのち、彼女を連れ高飛びすることにした。

しかし人生、思うようにはいかないものだ。
強盗計画は失敗の上、二人の逃避行がボスにバレてしまったではないか。
さあ、大変。
彼女ともども始末されかけたところを、彼だけが警視正であった親父の手引きにより救い出される。

こうして彼は権力のチカラというものを身をもって知った。
彼女を喪い悲嘆に暮れるも、もはや後の祭りだ。
失意の彼に残されたものは彼女の復讐だけ。

しかし、彼にはボスを倒すカネもチカラも無い。
そこで敵対勢力であるイタリアンマフィアと手を組むことにした。

まずは手始めに、マフィアの収入源である密造酒の一大拠点となっていたフロリダ州タンパへ、イタリアンマフィアの斬り込み隊長として送り込まれるのだった。

物語は、密造酒からカジノや麻薬へとマフィアのしのぎがシフトしつつある時代背景を舞台に、社会の枠を嫌い自由を求めて裏社会に飛び込んだ男の顛末を描いたクライムヒューマンドラマ。

酒の醸造に欠かせない糖蜜を仕切るキューバ人、そして過激な白人至上主義団体といった次々と立ちはだかる壁を乗り越え、独自の勘と才覚によって組織の頂点へと駆け上がってゆく男が成功の果てに見たものとは何か。

上からはせっつかれ、手がけるプロジェクトはトラブル続出。
そんな中間管理職の苦労がにじみ出ている。

自由を履き違えてはいけない。
手を汚せば因果はいずれ巡ってくると、彼の苦い体験を通して見せ付ける。

最後に彼を冷たく突き放す恋人の嘘が印象的だった。
住む世界が違うと身を引く彼女の愛もまた真実だったのだと信じたい。
大切なものを喪い虚しさだけが残る彼の半生を肯定し、ささやかな救いに変える一幕であった。

ザ・コンサルタント」のベン・アフレック
アサシン クリード」のブレンダン・グリーソン
「二ツ星の料理人」のシエナ・ミラー
「お家をさがそう」のクリス・メッシーナ
ロバート・グレニスター、
レモ・ジローネ、
ブルージャスミン」のマックス・カセラ、
ミゲル・J・ピメンテル、
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」のゾーイ・サルダナ
「ザ・タウン」のクリス・クーパー
「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界」のエル・ファニング共演。

原題「LIVE BY NIGHT」
2016年 制作。
PG-12