おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

キング・アーサー

乾いた熱風が吹く一日。
ベランダのフウセンカズラが葉を茂らせ、だいぶ緑のカーテンらしくなってきた。

映画「キング・アーサー」を観た。

怪獣クラスのゾウを操り怒涛のように押し寄せてくる禍々しい大軍。
邪悪な魔術師が率いるこの軍勢によって陥落寸前のキャメロット城。
城門は突破され、もはや後がない。

その時、国王は聖剣を手に取ると、敵の中枢へ決死のダイブで乗り込んだ。
激突する二つの魔力。
魔術師が討ち取られるやいなや、敵軍勢は瞬く間に崩壊してゆく。
そんな戦のシーンから物語は幕を開ける。

魔術師の反乱を鎮圧しイングランドにようやく平和が戻ってきた。
・・・いや、それは時期尚早であった。

あろうことか王弟がクーデターを起こしたのだ。
権力欲に魅入られウナギの水妖と取り引きした王弟は、悪魔の力で兄王夫妻を殺害。
国を乗っ取った。

一方、父王の死を目の当たりにした幼い王子は追っ手を逃れ、ひとり船に揺られて下町に辿り着く。
心優しい娼婦に拾われた彼は、以来、売春宿で育つ。

それから十数年。
下町の路地裏で鍛えられ生傷の絶えない少年期を過ごした彼は、逞しくしたたかな男になった。
売春宿の女たちを守り、商人からはみかじめ料をふんだくる。
仲間を従えた若き下町のアウトローだ。

ちょうどその頃、キャメロット城では、あのクーデターの夜に失せた聖剣が岩に突き刺さった状態で発見された。
屈強な兵士たちが抜こうにも、これびくともしない。
国王の直系だけが操れるという魔法の剣だ。
まるで、ふさわしい主を探しているかのよう。

・・・甥っ子は生きているというのか。

王子の存在を恐れ血眼で捜す叔父は、若い男たちを捕らえては、さながら踏み絵のごとくこの剣を引き抜かせる。
そしていよいよ下町のアウトローの番になった。
剣はあっけなく抜け、周囲にどよめきが走る。

ところがね、彼が柄を握った瞬間、稲妻のように恐怖の記憶がフラッシュバックしてきたではないか。
それは少年時代から彼を幾度となく苦しめてきた悪夢。
あのクーデターの夜に父王が悪魔によって惨殺される恐ろしいシーンだった。

物語は、アーサー王伝説をベースに、叔父の陰謀によって身分を失い下町で育った王子の帰還を描く剣と魔法のファンタジースペクタクルアクション。

両親を殺害する恐ろしい悪魔の記憶。
長年この恐怖を直視できずにいた彼のトラウマの克服がメインテーマになっている。

片や、欲望を満たす力。
片や、愛する者を守る力。
それぞれに力を追い求める二人の男、叔父と甥っ子を対照的に描き出す。

シャーロック・ホームズ」のように早送りと巻き戻しを多用したリズミカルな演出。
どうやら同じ作り手のようだ。
ただ、「シャーロック・ホームズ」では斬新に思われたこの手法は、ここぞというハイライトに使う分なら効果的だが、やたらめったら多用しすぎるとごちゃごちゃするだけだということに気づいた。

映像こそ凝っているものの、思いのほかストーリーに奥行きがない。
トラウマ克服のための試練も正直何をやっているのかよくわからない。
ドタバタ劇に終始し、期待していたほどの重厚感はなかった。
残念。

クリムゾン・ピーク」のチャーリー・ハナム
「NY心霊捜査官」のエリック・バナ
「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」のジュード・ロウ
リボルバー」のトム・ウー、
キングズリー・ベン・アディル、
ニール・マスケル、
ブルー・ランドー、
「エージェント・ハミルトン」のミカエル・パーシュブラント、
「セブンス・サン 魔使いの弟子」のジャイモン・フンスー
「ブリッツ」のエイダン・ギレン
パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」のアストリッド・ベルジュ・フリスベ、
アナベル 死霊館の人形」のアナベル・ウォーリス、
マイケル・マケルハットン、
デヴィッド・ベッカム
ジェフ・ベル共演。

原題「KING ARTHUR:LEGEND OF THE SWORD」
2017年 イギリス、オーストラリア制作。