おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

LOOP/ループ 時に囚われた男

昨日に引き続き、曇り空が広がる。
気温低めで過ごしやすい一日。

映画「LOOP/ループ 時に囚われた男」を観た。

ここは地下鉄車内。
カップの中の小銭を鳴らしうろつく老いた物乞いが、ふと若い男の前で立ち止まった。
彼は仕方なしに包みの中のバゲットを半分ちぎり分けてやる。
おや?
タトゥーだろうか。
若者の右手の甲には∞の印が見える。
そんなシーンから物語は幕を開ける。

さて、帰宅した彼は、思いがけず恋人から妊娠を打ち明けられた。

どうしてくれるんだよ。
せっかくのチャンスなのに。
何ヶ月も前から準備してきた二人の計画がパーじゃねえか。

喜ぶどころか、彼は憤り堕ろせと事も無げに言う。

彼は、組織犯罪に手を染めている。
病院からくすねているホルモンアンプルの運び屋だ。
遺体の脳から抽出され、ドーピング薬物の原料となるこのアンプルは高額で取り引きされるという。
このたびボスから預かったアンプルを持ち逃げし、恋人と海外へ高飛びする算段だった。

とりあえず病院でちゃんと検査してもらえよ。

彼は家から追い払うように恋人を送り出すと、慌しく荷造りを整え彼女に別れを告げるビデオメッセージを録画し始めた。

ああ、なんて男だろう。
身重の恋人を捨てて、ひとり逃げるつもりなのだ。

ところが、逃亡のために用意していた列車のチケットが無いではないか。
ぐぬぬ、先ほど彼女が持って行ったに違いない。
怒り心頭で恋人の後を追う彼は、スラムの角で彼女と鉢合わせした。

あなた生きていたの!?
さっきボスに撃たれて死んだと思ってた。
あなたが撃たれる一部始終を録画したビデオテープが部屋にあったの。
この証拠を持って警察に行きましょう!

慌てふためき靴は脱げ、殴られたような顔の恋人は、わけの分からないことを言う。
しかも警察なんてとんでもねえ。
その手を振り払った瞬間、突っ込んできた車によって彼女は帰らぬ人となってしまうではないか。

そんな恋人に駆け寄ることもなく、逃げるように事故現場を後にしたこのクズ野郎は、部屋に戻り彼女が持っていたビデオテープを再生し始めた。
ほどなく異変に気づき始める。
まるでリアルタイムに録画されているかのように、今の自分の状況がそっくりそのまま映し出されているではないか。

なんだよこれ?

そして、テレビモニターに映し出されているとおり、彼女を羽交い絞めにしたボスが拳銃片手に乗り込んでくるのだった。

なぜ逃亡がボスにバレたのだろう。
それに彼女は死んだはずではなかったのか。

物語は、自身の死に繋がる数時間を延々と繰り返してしまう、タイムループにはまってしまった男のあがきを描くSFサスペンス。

過去と現在と未来が同時に存在する、時間の概念のない世界。
果たしてこのループに出口は見つかるのだろうか。
どこまでも自己中心的で困難から逃げてばかりの人生を送ってきた男は、試行錯誤を試みる過程で自身の行いを冷静に見つめなおしてゆく。

謎が謎を呼び観る者を引き込む一作。
何気ないシーンも後に伏線として生きてくるので侮れない。
主人公のクズっぷりには呆れるが、そこそこ楽しめる一作。

終わりのない悪夢。
おそらくこれが地獄というやつなのかもしれない。

ディーネシュ・サーラズ、
ドリナ・マルティノヴィチ、
ジョルト・アンゲル、
ジェサ・D・ヘゲドゥス、
ズズサ・マラネ、
ギョルギー・ホンティ共演。

原題「HUROK」
2016年 ハンガリー制作。
PG-12