おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

アラビアの女王 愛と宿命の日々

どんよりとした曇が空を覆う一日。
にわか雨がさらに湿度を押し上げ、蒸し暑いことこの上ない。

映画「アラビアの女王 愛と宿命の日々」を観た。

第一次世界大戦の勃発により、中東を500年支配したオスマン帝国の崩壊が早まった。
帝国崩壊によって訪れるのはアラブの各部族や宗派による争いだ。
欧州の植民地保有国はそれに乗じ、戦利品の分割、つまり国境線をどう引くか虎視眈々と狙っていた。
うーん、西欧人は悪どい。
そんな前置きから物語は幕を開ける。

時は1914年。
ここはカイロの英国アラブ局。
時の大臣チャーチルを筆頭に、外交官や軍人をまじえ新しい国境線を巡って頭を悩ませている。
英国はバグダッド、バスラ、クウェートを押さえているが国境線がまだ無い。
彼らはベドウィンたちの勢力図が全くつかめず、国境線をどう引いたらよいのか考えあぐねていた。

誰ぞベドウィンに詳しい奴はいねが?

あのしとならばきっと適任だべ。
アラビアのロレンスの推挙により、選ばれたのはひとりの女性。
その場にいた男たちが一目置く、彼女の名はガートルード・ロージアン・ベル。

女だてらにアラブの情報通で、ベドウィンの首長たちに強いコネクションがあるという。
一体どんな人物なのだろう。

時を遡ること12年前。
彼女は、ここ英国の郊外に広大な屋敷を構える富豪の令嬢だった。
良家の子女らしく社交に勤しむ毎日は、好奇心が強く大学で学んだ彼女にとって退屈で息が詰まる。

そこで父に頼み込み、テヘランで大使を勤める伯父のもとへ研究員として送ってもらった。
とはいえお嬢様に仕事なんてものはなく、大使館の賓客扱いだ。
見たことも無い野性味あふれるペルシアの大地や文化に触れた彼女は、たちまちこの砂漠の国の虜になった。

もともと詩や文学を嗜む彼女。
恋に落ちた三等書記官の影響もあって本格的にペルシア語を学び始め、考古学とベドウィンについての研究にのめりこんでゆく。

実際にベドウィンの首長たちに会い話を聞きたい。
そこで彼女は周囲の反対を押し切り、わずかな召使いを伴って情勢不安な砂漠地帯に足を踏み入れる。
そこは西洋人がまだ足を踏み入れたことのない謎に包まれた砂の大地だった。

物語は、人生を砂漠の国に捧げた英国女性の軌跡を描くヒューマンドラマ。

気さくな人柄と見識の深さ、そして異文化を理解したいという情熱を武器に、数々のピンチを乗り越え砂漠の海を旅する彼女。
背景を彩る広大な砂漠やペトラ遺跡、砂漠の城塞都市の佇まいが圧巻だ。

ただ、どちらかといえばロマンスやセンチメンタルな部分ばかりが強調され、冒険の苦労や、いかにして首長たちの信頼を勝ち得たのかという肝心な点がなおざりにされている。
また、アラブの覇権を狙う部族間の歴史を知っていることが前提で物語が進んでゆくものだから、込み入った事情が分かりにくい。

富豪のお嬢様の道楽がたまたま偉業になった印象。
何かと物足りない一作。
残念。

「シークレット・アイズ」のニコール・キッドマン
「疑わしき戦い」のジェームズ・フランコ
ドリームキャッチャー」のダミアン・ルイス
コズモポリス」のロバート・パティンソン
ジェイ・アブド、
デヴィッド・コールダー、
マーク・ルイス・ジョーンズ、
ホリー・アール共演。

原題「QUEEN OF THE DESERT」
2015年 アメリカ、モロッコ制作。