おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

キングピン/ストライクへの道

久しぶりに爽やかな朝を迎える。
昨日から空気ががらりと入れ変わり、乾いた秋の様相になった。
ベランダに入ってくる日差しの角度もだいぶ様変わりしている。
エアコンの効いた部屋に閉じこもっているうちに、季節はひっそりと巡っていたようだ。

映画「キングピン/ストライクへの道」を観た。

時は1969年。
ここはアイオワ州の田舎町オセロット
ガソリンスタンドで働く親父のもとへ小さな息子が駆け寄ってきた。

父ちゃん、夕食まで1ゲームどう?

手作りのボウリンググレーンで息子の相手をしてやる親父。
お前には才能があるよ。
天から与えられた三本の指を生かせ。

そんな将来の夢に心を弾ませる、眩しい親子の姿から物語は幕を開ける。

それから10年。
親父が信じたとおり、彼は今や州のボウリングアマチュアチャンピオン。
地元ボウリング界の貴公子は、いよいよプロデビューのため故郷を後にすることになった。

全米各地で行われる大会を連戦して行く旅の道中、彼はダーティなプロボウラーに出会う。

何も知らない彼は、シロウトのカモを相手にした賭けボウリングで荒稼ぎをするというこの男の儲け話にまんまと乗ってしまう。
ところが、カモは他ならぬ彼のことだった。

ダーティなプロボウラーは掛け金をごっそり持ち逃げ。
残された彼は、怒れる群衆の手によって恐ろしい制裁を受ける羽目になってしまった。

こうして、あっけなく失われた神の右手。
故郷に錦を飾るどころか、故郷にすら帰れなくなってしまった。
騙すより騙される方が悪いというお国柄だもの。
仕方のないことだ。

プロボウラーとしての道を断たれて以来17年。
彼は、他人を騙してはカネを稼ぐ、酒びたりの堕落した日々を送っていた。
やっていることは自身を陥れたあのダーティなプロボウラーと同じ。
もうかつての輝きは無く、右手にはフック船長みたいなかぎ爪が付いている。

しかも詰めが甘い彼は、いつも上手く立ち回ることが出来ず、やることなすこと全て裏目に出てしまう。
もはや運に見放されているといっても過言ではない。

さて、そんなある日。
彼はふと、ボウリング場で楽しむアーミッシュの男を見かけた。
これなかなかの腕前ではないか。

そこで彼はひらめく。
こいつはカモだ。
こいつをリノで開催されるボウリング大会に出場させて賞金をごっそり頂こう。

こうして純朴なアーミッシュに近づき、言葉巧みにリノへの旅路へと連れ出すのだった。

さあ、二人は優勝を勝ち取ることができるのだろうか。
・・・それ以前に、カネのない彼らがリノまで辿り着くことが出来るのだろうか。

物語は、人生に落ちぶれた中年プロボウラーのリベンジを描くコミカルなロードムービー

人生は思うようにはいかない。
むしろ辛いことだらけだ。
でも辛い中にも学びがあり、小さな喜びがあると彼らの旅を通して物語はいう。

下世話なネタを盛り込んだ笑いがやや好みの分かれるところ。
ただ、必要以上に引っ張らないためメリハリが効いている。
大きな笑いこそ巻き起こらないが、くすっと笑える小ネタが詰め込まれている。
努力が必ずしも報われるわけではなく、勧善懲悪を説いているわけでもないが、逆境にある者にささやかなエールを送る一作。

グランド・イリュージョン」のウディ・ハレルソン
ゴーストバスターズ」のビル・マーレイ
インシディアス」のリン・シェイ、
ブロークバック・マウンテン」のランディ・クエイド
ヴァネッサ・エンジェル、
「サプライズ」のロブ・モラン、
「Re:LIFE リライフ」のクリス・エリオット共演。

原題「KINGPIN」
1996年 制作。