おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

キュア 禁断の隔離病棟

台風が連れてきた湿気のおかげで、ここ数日厳しい暑さが続いている。
アルテシーマゴムの木が大鉢の環境に馴染んだのか次々と新しい葉を出し始めた。

映画「キュア 禁断の隔離病棟」を観た。

ここはニューヨークの大手金融会社。
眺めの良い高層階の広い会議室で、このたび社に送られてきた一通の手紙を巡り、取締役の面々が気難しい顔をつき合わせている。
いずれも人を騙し、蹴落として今の地位を築いてきた曲者揃いだ。

二匹の蛇をかたどる蝋印がなされた手紙の差出人は、スイスアルプスの高級スパ施設で療養中にある社長。
親愛なる役員諸君と題し、拝金主義に病んでいる彼らを断罪する文面だった。

社長、頭がおかしくなったんじゃね?

おりしも合併を控えた会社は収支報告書の不正が発覚し株価が急落中。
証券取引委員会の追求が待ち受けており、役員の誰かが責任を取って腹を切らねばならない。

保身に走る彼らは、不正の責任をこの乱心した社長になすりつけることにした。
とりあえず生贄にするにしても合併の承認手続きを進めるに当たっても、社長をいったんスイスから呼び戻す必要がある。

そこで、前任者の突然死によって役員に昇進したばかりの若い男が、社長を連れ帰る責務を担うことになった。

こうして彼はスイスに飛び、携帯の電波も届かない山奥の古城を改築した施設の門を叩く。
門扉には手紙の蝋印と同じく二匹の蛇をかたどった装飾がなされている。
200年ほど前は、この一帯を支配する男爵の居城だったという。
純血を追求する男爵が宗教に反し実妹を娶っため、妹ともども怒った民衆の手によって焼き殺されるという伝説が残っている。

そんな血生臭い伝説はともかく、ここの湧き水が心と身体を癒やすのだという。
今では、大金持ちの年寄りたちがプログラムに沿って施設でのんびりと治療を受けている。

さっそく社長に面会を求める彼であったが、社長の病状は重く、厳格な施設の管理体制もあいまって外には出せないという。

埒が明かず、いったん電話のある麓の町へ向かった彼は、道中思いがけぬ事故に遭う。
気が付いたときには患者として療養所のベッドの上。
足を折ってしまい、しばらく身動きが取れそうにない。

水をたくさん飲むように。

言われるままに水を飲む彼は、たびたび幻覚を見るようになる。
それは水の中にのたうつ無数のうなぎであった。

この施設がおかしいのか。
それとも、おかしいのは自分なのか。

物語は、スイスアルプスに佇む高級スパ施設の真相に迫るホラーサスペンス。

深まってゆく謎と、開幕から続く不穏な空気感が観る者の心を掴んで離さない。

人を苦しめる毒素ともいうべき執着が人をこの世に縛り付ける、いわば不老長寿の妙薬なのだと物語はいう。

人の執着を食らい続けることで宿主に多幸感を与えるという風土病を思わせる寄生うなぎのくだりは興味深かったが、純血のくだりで一気に安っぽいドラマに転じてしまった印象。
映像と雰囲気は好みだが、やや消化不良気味に終わった一作。

「デビルズ・ノット」のデイン・デハーン
ハリー・ポッター」のジェイソン・アイザックス
ミア・ゴス、
イーヴォ・ナンディ、
エイドリアン・シラー、
アバウト・シュミット」のハリー・グローナー、
マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のセリア・イムリー、
トマス・ノルシュトレム、
マグヌス・クレッペル、
ペーター・ベネディクト、
クレイグ・ウィロー
デヴィッド・ビシンズ共演。

原題「A CURE FOR WELLNESS」
2016年 制作。
R-15+