おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ヴァージン・スーサイズ

刺すような日差しが降り注ぐ灼熱の一日。
フウセンカズラグリーンカーテンにようやくぽちぽちと実が付き始めた。
鈴なりの実を期待していたのだが、今年は暑さのおかげで受粉のための虫が少なく実の付きも悪いようだ。

映画「ヴァージン・スーサイズ」を観た。

時はかれこれ25年前に遡る。
不況と環境汚染が社会問題化していた70年代。
道に沿って立ち並ぶ楡の木が通りに深い影を作り出す、ここはミシガン州の緑豊かな住宅地。

うだるような猛暑が襲った真夏。
その一角に住む年子の5人姉妹が、自ら命を絶つというショッキングな事件が起こった。
それは人々の様々な憶測を呼び、謎めいた姉妹の自死は全米を揺るがせた。

父は真面目な数学教師。
敬虔なクリスチャンであるこの模範的な家庭に、一体何があったというのだろう。

事の発端は、13歳になる末娘の自殺未遂だった。
少女から大人になる不安定な年頃にありがちな衝動だったのだろうか。
両親にとっては青天の霹靂のような出来事だ。
精神科医に家庭以外の、同世代の少年たちとの交流を増やすようアドバイスを受けた両親は、さっそく近所の少年たちを招き初のホームパーティーを催す。

末娘から目を離さぬよう心がけていた一家であったが、パーティを抜け出した彼女は庭のフェンス目掛けて飛び降りた。

ああ、どうしてこんなことに。

血の惨劇となってしまったパーティ。
末娘を襲った憂鬱は、以来、まるで楡の木に巣食う病魔のようにじわじわと一家に浸透してゆくのだった。

物語は、この美しい5人姉妹に思いを寄せる少年たちの回想をもとに、彼らが見聞きした少女たちの断片的な素顔と事件の真相に迫ってゆく。

とどのつまり人が抱える悩みや苦しみといったものは、所詮他人には理解できないと物語はいう。

死んだ子が天使のように微笑む幻覚を見せ、重暗くなりがちな自死というテーマを、年頃の少女さながらにどこか夢見心地でふわふわとした表現で描いている。

彼女たちが求めていたもの。
それが自由なのか、それとも愛なのか定かではないが、憂鬱が伝染することは確かなようだ。

つい先日、Googleアシスタントがネガティブなニュースを避けるサービスを始めたという。
これ、憂鬱の伝染を防ぐ画期的な試みではないかと思う。

ハンナ・ホール、
メランコリア」のキルステン・ダンスト
チェルシー・スウェイン、
A・J・クック、
レスリー・ヘイマン、
わらの犬」のジェームズ・ウッズ
ローズ家の戦争」のキャスリーン・ターナー
アンソニー・ デシモン、
リー・カガン、
ノア・シェビブ、
ジョナサン・タッカー
バート・シュワルツマン、
「ジャンパー」のヘイデン・クリステンセン
ジョー・ディニコル、
30デイズ・ナイト」のジョシュ・ハートネット
リンカーン弁護士」のマイケル・パレ共演。

原題「THE VIRGIN SUICIDES」
1999年 制作。