おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

WILD CARD ワイルドカード

昼過ぎになって青空が顔を覗かせた。
ハロウィンが近づき、店頭に並ぶ柿にもジャックランタンの目鼻を模したシールが貼られるようになった。
個性豊かなその顔がなかなか可愛い。

映画「WILD CARD ワイルドカード」を観た。

ここはネバダ州ラスベガス。
寂れたバーのカウンターでひとり酒をあおる男がいる。
おっと、いい女が店に入ってきた。
遅れてボックス席にやってきた冴えない連れの中年男が、煮え切らない彼女にしきりと求婚を迫っている。

カウンターの男はやおら立ち上がると、連れがいる女にちょっかいを出し始めたよ。
なんだ、たちの悪いチンピラかよ。

あまりの無礼な振る舞いに、とうとう連れの中年男が怒りの鉄拳をお見舞い。
すると、チンピラはこれあっさりとやられてしまうではないか。
まるでヒーローのような連れの雄姿に、熱いまなざしを送る女。
めでたしめでたし。
こうして二人は仲良く店を後にしてゆく。

ははあ、なるほどそういうわけか。
仕事でやられ役のチンピラを演じる男の一芝居から物語は幕を開ける。

特殊部隊出身の彼は、この街で警備コンサルタントを生業にしている。
組織に属さない裏社会の用心棒で、頼まれば冒頭のような仕事を引き受けることもある。
この街にやって来てかれこれ十数年。
仕事を通して彼の世話になった者は多く、信頼篤く人脈も広い。

さて、そんな彼に昔の恋人が助けを求めてきた。
酷い暴行を受け、瀕死の状態で救急病院の前に放り出されたのだという。

彼女はこの三人組を訴えたいと主張するが、ちょっと相手が悪かった。
犯人は東海岸を支配するマフィアのボンだったのだ。
しかし尊厳を踏みにじられた彼女の怒りは収まらない。

どうする。
彼女の敵討ちを引き受けるべきか、否か。

男には迷いがあった。
手を出せばマフィアの報復が待ち構えていることだろう。
これまでのように平穏な商売ができなくなる。
それなら街から逃げ出せばいいのだが、彼には街をどうしても離れられないある理由があった。

物語は、ラスベガスに暮らすある用心棒の苦悩を描いたクライムアクション。

一攫千金を夢見てのるかそるかの駆け引きに挑む者たちが集まるラスベガス。
彼は、騙し騙されることが恒常化したこの虚飾の街からいつになっても抜け出すことが出来ず、人生に希望が持てずにいる。
そんな男が自分の弱さを認め、ギャンブル依存症を自覚するまでの経緯が描かれる。

恋人の事件に端を発したマフィアとの派手な立ち回りは、いわばストーリーを盛り上げるおまけのようなもので、現状を認めたくない主人公の内面の葛藤が作品の本筋のようだ。
終盤になってようやく浮かび上がってくる、この思いがけない本筋の存在に一杯食わされる一作。

SPY/スパイ」のジェイソン・ステイサム
エージェント・マロリー」のマイケル・アンガラノ、
シェフ 三ツ星フードトラック始めました」のソフィア・ベルガラ
夜に生きる」のマックス・カセラ、
ジェイソン・アレクサンダー、
アン・ヘッシュ
アトランティスのこころ」のホープ・デイヴィス
ドミニク・ガルシア・ロリド、
ダヴェニア・マクファデン、
「キリングゲーム」のマイロ・ヴィンティミリア、
「モールス」のクリス・ブラウニング、
マシュー・ウィリグ、
「シェフとギャルソン、リストランテの夜 」のスタンリー・トゥッチ共演。

原題「WILD CARD」
2014年 制作。
PG-12