おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション

天気は徐々に回復し、午後になってようやく晴れ間が出てきた。
空き地や植栽の隅っこでセイタカアワダチソウが黄色い花を盛大に咲かせている。

映画「THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション」を観た。

ここはボストンの刑務所。
独房の壁に寄りかかり物思いにふける中年男がいる。
あと11ヶ月待てば仮釈放が認められるというが、彼には時間がない。

彼は接見にきた弁護士に詰め寄る。
あの男と連絡を取ってくれ。
それは死ぬほど高くつく取り引きだった。

そいつはヤクの元締めをやっている地元の悪党だ。
親子二代にわたる詐欺師にして贋作家の彼は、そいつのもとで名画の窃盗に関わってきた。
そのおかげで今の境遇にあるわけだ。
二度と関わりたくない悪党に大きな借りが出来てしまうが、それでも彼には今すぐここを出なくてはいけない理由があった。

それは脳腫瘍を患う息子と最期の時間を過ごすためだ。
できることなら息子の望みを何でも叶えてやりたい。
そんな親心が彼を駆り立てた。

こうして晴れて出所し、じいちゃんと二人で暮らす息子の元に戻ってきた。
とはいえハイティーンの息子はなにかと難しいお年頃。
これまで父親らしいことなどしてこなかったものだから互いに気まずい。

その上、例の悪党が、この街に巡回してくるモネの絵画を盗み出せというではないか。
それが出来ないのなら、今すぐ耳をそろえて借金を返すか、刑務所に逆戻りするかのどちらかだという。
ああ、これが裏社会における搾取の構図か。
彼に断る術は残されてはいなかった。

モネの「日傘を差す女」がボストン美術館にやって来るまであと3週間。
彼は息子の望みをひとつひとつ叶えつつ、密かに強奪計画を練りはじめる。

彼は悪党に踊らされるしかないのだろうか。
失敗しても、あるいは成功しても茨の道が待ち受ける、危うげな彼の計画の行方はいかに。

物語は、父と子の絆をテーマに、命いくばくもない息子のため再び強盗計画に身を投じる贋作家を描いたクライムサスペンス。

スリリングな人生を歩んできたじいちゃんや親父のように、人生の最期にどかんと大きな花火を上げたい。
そんな息子の思いを汲んだ親父は、親子三代タッグを組んだモネ強奪計画を決心する。
この、悲壮感が漂う差し迫った状況から、新たな冒険に挑むかのような躍動感に転じるあたりが本作品のハイライトか。

悪党も麻薬取締官しょっぱなから実におしゃべり。
状況説明を台詞に織り込んでいるのでとても分かりやすいが、役者の表情や仕草から状況を汲み取るといった推理の余地がほとんどないため物足りない。
また、アクションありきの展開のため、主人公の天才画家としての個性がすっかり薄れてしまっている。
役者のせっかくの演技が生かしきれていないプロットにもシナリオにも難ありの一作。
残念。

「キリングゲーム」のジョン・トラヴォルタ
手紙は憶えている」のクリストファー・プラマー
「ゾンビーワールドへようこそ」のタイ・シェリダン、
「SAFE/セイフ」のアンソン・マウント、
ヴェルサイユの宮廷庭師」のジェニファー・イーリー
マーカス・トーマス、
アビゲイル・スペンサー、
ラヴィス・アーロン・ウェイド、
ジュリオ・オスカー・メチョソ共演。

原題「THE FORGER」
2014年 制作。