おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

アンリミテッド

昨日までの穏やかさはどこへやら。
西風がびゅうびゅう吹きすさぶ一日。
最低気温が10度に近くなってきた。
そろそろ寒さに弱い植物を室内に取り込む時期か。

映画「アンリミテッド」を観た。

ニューヨークのど真ん中。
障害物をものともせずビルの屋上から屋上へ、まるで曲芸のように駆け抜けてゆくスゴイ一団がいる。
彼らは何者なのだろう。
そして、なぜそんなに危険な行為をしているのだろう。
そんな謎めいたシーンから物語は幕を開ける。

ここに、走る車の間をすり抜け自転車をかっ飛ばす青年がいる。
彼はメッセンジャー
その腕前を生かし、オフィスからオフィスへ高速で荷物を届けるお仕事だ。

さて、冒頭の一団のひとりがひらりと路面に着地した。
おや、若い女性ではないか。
それを避けようとしたタクシーが急停車したものだから、青年ははずみで自転車ごとタクシーに乗り上げ転倒してしまったよ。

普通の人なら大怪我だが、とっさの身のこなしで青年も、また降ってきた女も無事であった。
彼女は謝罪もそこそこに駆け出し、瞬く間に青年の視界から消えてしまう。
その場にはタイヤフレームがゆがみ、使い物にならなくなった自転車だけが残された。

どうしよう。
彼にはチャイナタウンの町金に高額の借金があるのだ。
暴力まがいの取立ては厳しくなる一方。
そんな時に稼ぐ手段を失ってしまったのだから、まさに踏んだり蹴ったりである。

意気消沈する彼のもとに、翌日メッセンジャー事務所から連絡が入った。
よかったな。
お前のカノジョが自転車をプレゼントしてくれたぞ。

カノジョ?
そんなのいないはずだが。

あっ、あの女かッ。

再び稼げるようになった青年は、仕事中にふと彼女の姿を見かけた。
自転車のお礼を伝えたく追いかけるも、彼の自転車の腕前を持ってしてもこれなかなか追いつけない。
彼女の曲芸のごとき体技は、ネット動画でも話題のパルクールと呼ばれる特殊技能だ。

自転車なんて邪魔なだけよ。
そう語るクールな彼女に惹かれると同時に、彼は自転車以上にデンジャラスで刺激的なパルクールに夢中になってゆく。

そんな出来事がきっかけで、彼女が所属するパルクール一団の練習に参加できることになった。
練習の間は辛い現実を忘れることができるし、天涯孤独の身だった彼にとって仲間と共に過ごす時間が嬉しかった。

しかし、このパルクール一団はただの趣味サークルではなかった。

物語は、パルクールを駆使した組織犯罪に巻き込まれてゆく青年を描いたクライムアクション。

高価なものを運ぶ特別な運び屋だという彼ら。
彼らが運ぶ品とは一体何なのだろう。
そして背後にはどんな巨悪が控えているというのだろう。

そんな観客の期待はあっさりと裏切られる。
組織というほどでもない、汚職に手を染めたリーダーによるただの窃盗団ではないか。

見どころはパルクールによる鮮やかなアクション。
ノンストップで繰り広げる技の数々は観る者を惹き込む。
ただしストーリーは単なるおまけに過ぎないようで、大雑把で説得力に乏しい。
若者向けの一作。
残念。

ミッシングID」のテイラー・ロートナー
マリー・アヴゲロプロス、
オーバードライヴ」のラフィ・ガヴロン、
ルチアーノ・アクニャJr.、
ジョシュ・ヤドン
アダム・レイナー、
アミラ・ヴァン、
ジョニー・ウー、
サム・メディーナ、
ワイ・チン・ホー共演。

原題「TRACERS」
2015年 制作。