おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

チェリー2000

朝から気温高めの一日。
この暖かさを逃してしまったら、もうこの冬髪を切るチャンスがなくなるような気がして急ぎ美容院に駆け込む。

映画「チェリー2000」を観た。

時は近未来2017年。
仕事を終え、車をかっ飛ばして帰宅する青年がいる。
花束を抱えた彼を、笑顔で迎えるのはとびっきりの美女。
ああ、待ちきれないッ。
食事もそこそこに二人の熱い抱擁が始まった。

おやおや?
出しっぱなしのシンクから泡と水が溢れ始めたぞ。
そんなこと気にも留めず、泡水まみれのキッチンで夢中で抱き合う二人。

次の瞬間、美女が痙攣を起こしショートしてしまった。

ああッ、おれのチェリーが!!!

後悔先に立たず。
美女は彼のラブドールアンドロイドであった。

彼が住む都会の恋愛事情は今やすっかり様変わり。
カネと契約に固執する打算的な生身の女たちに彼は心底うんざり。
それに比べてこのチェリーはどうだろう。
いつも優しく朗らかで彼を幸せな気分にしてくれる。

そんなおれのチェリーが!!!

修理屋の話によれば、このチェリー2000は他のラブドールにはない個性を伴う幻の名機だったという。
しかし今はもう生産終了で手に入らない。

ウガー!!!

ボディ内部が熱で溶け修復不可能だが、幸いメモリーチップは生きている。
新しいボディさえあればチェリーは復活するのだ。

在庫が残っているとすれば辺境にある人形倉庫。
そこはプロの回収屋にでも頼まないと近寄ることすら出来ない無法地帯だというではないか。

こうして都会育ちの臆病な彼は、愛する恋人チェリーのため一念発起。
ありったけのカネと武器を手に回収屋のもとへと向かうのだった。

物語は、恋人のボディを手に入れるべく、赤毛の女回収屋と冒険に出たやさ男の成長を描く近未来SFロードムービー

アンドロイドに魂はあるのだろうか。
あると信じて疑わなかった青年が、目の当たりにする厳しい現実。
アンドロイドは決して嘘をつかないという。
しかし危機感もなければ、悲しみを共有することも出来ないのだ。

無法地帯を支配するヒッピーたちが、人情というものをまるで持ち合わせないアンドロイドにより近い存在だということは分かるが、彼らがなぜ回収屋を憎悪するのか、その動機が釈然としないため全体的に中途半端な印象。
ブレードランナー」には遠く及ばない残念な一作。

アンドロイドの進化に関しては80年代の予想よりもだいぶ緩やかなようで、2017年が既に過去になってしまっている点が悲しい。
不気味の谷を乗り越えたアンドロイドの完成まで我々は生きていられるのだろうか。

デヴィッド・アンドリュース、
パメラ・ギドリー、
メラニー・グリフィス
ワイルドバンチ」のベン・ジョンソン
キャメロン・ミルツァー、
ティム・トーマソン、
ハリー・ケリー・ジュニア
ジェニファー・メイヨ共演。

原題「CHERRY 2000」
1987年 制作。