おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ザ・ビーチ

朝から眩しい日差しが降り注ぐ一日。
11月とは思えない、上着を着ていると汗ばむほどの陽気だ。

映画「ザ・ビーチ」を観た。

ここタイはバンコクの地に若者が降り立った。
彼は、より美しく、より危険な何かを求め、はるばる米国からやってきた刺激に飢えた旅人だ。
混沌としたこの国なら、米国では味わえないようなとびきりの体験ができるかも。

ゴキブリだらけの安宿は、彼のような冒険を求める旅人で溢れかえっている。
ようやく腰を落ち着けた彼に、隣室のイカれた男が話しかけてきた。
見るからに薬物依存症で常軌を逸している。
長くこの地に留まっていると、皆こうなってしまうのだろうか。

イカれ男いわく、ここタイにはそれはそれは美しいビーチが広がる秘密の島があるという。
島には天然の大麻が生い茂り吸い放題。
ヒッピーの楽園だ。

・・・まじっすか。

さすがにイカれ男の与太話だろう。
ところが後日、そいつが島のありかを記した地図を残し、血まみれの部屋で息絶えているではないか。

イカれ男がなぜ死んだのか知らんが、楽園がにわかに現実味を帯びてきた。
若者の冒険心がうずく。
そこで、同じ宿泊客であるフランス人カップルを誘い、地図を頼りにいわくの島を目指してみることにした。

移動に正味一日。
船は最寄りの島までしかなく、そこからいわくの島までは1~2キロほど泳ぐしかないようだ。

驚くべきことに、付近のリゾートに滞在する旅人の間ではビーチの噂が伝説のように広まっていた。
しかし誰もその場所を知らない。
彼は、伝説を共有する冒険者のよしみで、噂を教えてくれた青年たちに地図のコピーを置き土産に託す。

こうしてフランス人カップルと島を目指し泳ぎ始めた彼であったが、この地図のコピーが後々どんな運命をもたらすのか、まだ何も分かってはいなかった。

物語は、秘密の代償をテーマに、秘密の楽園に辿りついた若者の顛末を描くサスペンススリラー。

外界の喧騒から逃れた美しい島で、気の合う仲間と自由気ままな毎日を過ごす。
そんなヒッピーたちの終着点とも言えるこの楽園の暮らしとはいかに。

楽園などこの世に存在しないと物語はいう。

とてつもなく素晴らしいものを目の当たりにした時、人は変わる。
不穏な空気感の中、共有することで喜びを得ていた人々が、独占欲に支配され変貌を遂げてゆく姿を見つめる。
楽園にしがみつく人の狂気に触れる一作。

「レヴェナント 蘇えりし者」のレオナルド・ディカプリオ
フル・モンティ」のロバート・カーライル
マリー・アントワネットに別れをつげて」のヴィルジニー・ルドワイヤン
ギヨーム・カネ、
パターソン・ジョゼフ、
ドクター・ストレンジ」のティルダ・スウィントン
ラース・アレンツ・ハンセン共演。

原題「THE BEACH」
1999年 制作。