おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ダンケルク

穏やかな晴天の一日。
2025年に大阪万博の開催が決まったようです。
特需が狙える業界は喜びに沸いているようです。
でも、万博ってそんなに面白いイベントでしょうか。
また見たい、来年も見たいと、何度も足を運びたくなるようなものでしょうか。
よくわかりません。
祝賀ムードに水を差すようですが、先の大阪万博とは時代が違うということを忘れているような気がします。

映画「ダンケルク」を観た。

線路伝いに3人の仲間と連れ立って歩くフランス軍兵士がいる。
この6日間歩きっぱなしなもんで足取りも重い。
前方に見えるローゼンダール駅には連合軍の情報部が置かれ、敗走してきた兵士たちがひしめくように腰を下ろしている。

おっと、その頭上を一機のドイツ軍セスナが通り過ぎた。
プロパガンダ用のビラが一斉に空を舞う。
えーと、なになに?

フランス兵へ告ぐ。
ポーランドの死者は3400万人。
オランダ軍は撤退し、ベルギー軍は降伏したよ。
我がドイツ軍は50万以上で前進中やで。
ジャンヌ・ダルクが悲しむやろ。
もういいかげん降伏したまへよ。

けっ!
それでもまだ希望はあるさ。
おれは諦めん。

110部隊所属の彼が駐屯していた町は陥落。
撤退時に部隊からはぐれてしまい、情報を求めここにやってきたのだ。
情報部によると放射状に敵の包囲網が築かれている。
彼らが進むべき道は、もはや海を背にした海岸方面しかない。

ドーバー海峡を隔てた18キロ先はイギリスだ。
潮の流れがきつく泳ぐのは不可能だが、海岸から撤退するイギリス軍の船が出ているという。
ダンケルクから出ている船にはフランス兵も乗せてもらえるとの噂だ。

こうして時は1940年6月1日土曜。
彼はイギリスに渡る望みをかけてズイドコート海岸に辿り着く。
平時ならリゾート客で賑わうはずの砂丘は、いつ来るとも知れぬ船を待つ兵士でごったがえしている。

しかも危険と隣りあわせだ。
なんと敵は既に10キロ先にまで迫っており、たびたび砲弾が飛んでくるではないか。
それに加えて兵士を乗せた船を狙うドイツ空軍機が、行き場をなくした砂丘の彼らに向かって虫を蹴散らすような機銃掃射を浴びせるのだった。

ああ、死がそこらじゅうに転がっているよ。
こんなとんでもない週末のリゾートならぬ終末のリゾートを過ごすことになってしまった彼。
果たしてイギリスに渡れるのだろうか。

物語は、ドイツ軍の猛攻により退路を断たれ、フランス北部の海岸線に追い詰められた連合軍兵士たちの顛末を描く戦争映画。

飄々としたどこか人好きのするフランス兵の視点で、週末の二日間における出会いと別れを淡々と描き出してゆく。

船に乗せてもらえないことが分かっているフランス兵たちは、諦観にも似た気構えで神の御心のままに運命を受け入れようとしている。
シニカルでユーモアに溢れた台詞と、最後まで日常を過ごそうとするどこかおっとりとした人々の佇まいが、ややもすれば重く暗くなりがちなストーリーに救いをもたらしている。

戦場の悲惨さを伝えつつも安易な感動とは無縁。
傍観者たる神の、一歩引いた視点でダンケルクの戦いを捉えた一作。

「ボルサリーノ」のジャン・ポール・ベルモンド
ダ・ヴィンチ・コード」のジャン・ピエール・マリエール、
フランソワ・ペリエ
ピエール・モンディ、
ピエール・ヴェルニエ、
ジョルジュ・ジェレ、
カトリーヌ・スパーク共演。

原題「WEEK-END A ZUYDCOOTE」
1964年 フランス、イタリア制作。