おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ダンケルク

スーパーの店頭には早くも鏡餅が並んでいる。
ぼんやりとすっきりしない薄曇りの一日。

映画「ダンケルク」を観た。

若いイギリス兵たちが無人と化した市街地を行く。
その頭上を、降伏を求めるドイツ軍のビラが舞う。

敵はイギリス軍とフランス軍ダンケルクの海岸に追い詰めた。
兵士たちは救出に望みを託し運命を待つ。
そんな一文から物語は幕を開ける。

さて、背後から敵の狙撃を受け仲間は全滅。
たったひとり生き残った青年は命からがら味方のバリケードに転がり込む。
走るその向こうには眩しい海岸が広がっていた。
しかし、死地から這い出たような彼の喜びは一瞬にして打ち砕かれる。

海岸は桟橋へと続くおびただしい兵士の列で埋め尽くされていたのだ。
その数ざっと40万人。

遠浅の海岸は駆逐艦で横付けすることが出来ない。
そこで桟橋からいったん小型の船舶に乗り、沖で待つ駆逐艦に乗り移るのだという。

もちろん乗れるのはイギリス兵のみだが、イギリス軍にも序列があり、彼のような下っ端は列の最後尾に並ぶしかない。
そうしている間にも、敵の空軍機による機銃掃射が雨あられと降ってくる。
じっと末尾で順番を待っていたのでは生きて故郷に帰ることは出来ない。

そこで、負傷兵が優先的に船に乗せてもらえることを知るや否や、彼はイギリス兵になりすました若いフランス兵と手を組み、姑息な手段に出ることにした。
死にかけた兵士を担架に載せて船まで運ぶのだ。
こうすれば列に並ぶ兵士たちはみな道を譲ってくれる。
船が岸を離れるまであとわずか。
間に合うだろうか。

よっしゃー!
これで帰れるぅぅう!

・・・甘かった。
死に物狂いで負傷兵を運んだにもかかわらず、二人は船から降ろされてしまう。

いやいやいやいや、まだまだ諦めへんでえ!

隙を見て桟橋の下に潜り込んだ彼らは、密かに船に乗り込むチャンスを伺うのだった。

本土決戦に備えるイギリス軍は戦力を温存するつもりで、ダンケルクはいわば見捨てられた戦場だった。
ある者はひたすら生きるために。
ある者は兵士の命を救うために。
物語は、凄惨を極めたダンケルクの救出劇をイギリス人視点で描いた群像劇。

一週間前から始まる冒頭の若きイギリス兵のストーリー。
一日前から始まる兵士の救出に向かう民間船舶の有志によるストーリー。
一時間前から始まるスピッドファイアで味方の援護に向かうイギリス空軍パイロットのストーリー。
これら時系列の異なる3つのストーリーが同時進行で描かれ、やがてリンクしてゆく。

迫力ある美しい映像と手に汗握る展開に目が離せない。
ラストを彩る、戦場を知らない政治家の勇ましい演説が薄ら寒く感じられたのは観客だけだろうか。
安易な感動話に終わらせない作り手のセンスにうなる一作。

イギリス人視点のよりリアルな趣き。
同じ戦場を描いたフランス人視点の1964年の「ダンケルク」との差は国民性の表れだろうか。

フィオン・ホワイトヘッド
アナイリン・バーナード
ハリー・スタイルズ
クラウド アトラス」のジェームズ・ダーシー
ハムレット」のケネス・ブラナー
ブリッジ・オブ・スパイ」のマーク・ライランス
バリー・コーガン
トム・グリン・カーニー、
レッド・ライト」のキリアン・マーフィ
ジャック・ロウデン、
レジェンド 狂気の美学」のトム・ハーディ共演。

原題「DUNKIRK
2017年 イギリス、アメリカ、フランス制作。