おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

ぼんやりした薄曇りの一日。
12月とは思えない暖かさ。
カランコエの蕾が開花を始めた。

映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を観た。

ここは英国サリー州。
まだ夜も明けぬ時刻。
ふと目覚めた女性は、隣に眠る夫を残し離れの書斎にやってきた。
壁一面に貼られたテロリストたちのおびただしい写真。

そう、彼女は最重要指名手配のテロリストを追う英国軍人だ。
胸騒ぎを覚えパソコンを立ち上げると、ソマリア武装勢力アル・シャハブが彼女の情報屋を処刑したとの悲報が飛び込んできた。

このたび行われるケニア ナイロビでの統合作戦のため、命をかけて有力な情報をもたらしてくれた人物だった。
これは是が非でも作戦を成功させねば。
彼女は沈痛な面持ちでロンドン ノースウッドの統合司令部に向かう。

情報によるとアル・シャハブの主要メンバーがナイロビ郊外の屋敷にやってくるという。
メンバーには彼女が6年も追跡していた英国人女テロリストも含まれている。
これらを付近に待機させたケニア軍特殊部隊の突入によって捕獲しようという作戦だ。

ネバダ州クリーチ空軍基地のオペレーターが操る無人機がナイロビ上空2万フィートから捉えた屋敷の映像を、
ロンドン ノースウッドの統合司令部、
ロンドン ホワイトホールの内閣府
米ハワイ基地の画像解析班、
現地で突入に備えるケニア軍特殊部隊の面々がじっと見守る。

ところが現実は筋書き通りにはいかない。
テロリストたちは急遽車で移動を始めてしまうではないか。
その進む先はアル・シャハブの支配地域。
突入は危険と判断され、ケニア軍特殊部隊は手を出せなくなった。
しかも、テロリストらが自爆テロの準備を着々と進めている事を知る。

もう待ったなしや。
自爆テロを防ぐため、上空の無人機を使って一網打尽にするしかない。
事は一刻を争うため現場に緊張が走る。

しかし、ミサイルを撃ち込むとなれば交戦協定に背く恐れがあり、責任を恐れるロンドン内閣府の面々がなかなか攻撃を許可しない。
そうこうしているうちに、ターゲット建屋のすぐ脇で、何も知らぬ少女がパン屋の露天を広げてしまうのだった。

少女を救うべきか、否か。
物語は、無人機リーパーによる対テロ攻撃を見守る面々を描いた群像劇。

少女の命と自爆テロの被害を天秤にかける面々。
政治家や役人が責任のなすり付け合いをしている間にも、現場の状況は刻一刻と悪化してゆく。

世界一安全な場所で戦場を論じ采配しているのは誰か、と物語は問いかける。

すさまじい焦燥感と緊張感が観る者の神経をがりがりとすり減らす一作。
事件は会議室で起きているんじゃねえ!
現場で起きているんだッ!という例の名台詞を思い出す。

我々は、この不毛な戦いをいつまで続けなくてはいけないのだろう。
恐怖に支配され、身に降りかかる火の粉を払うように少女の命を軽んじてしまった自分を最後に恥じた。

最後に故アラン・リックマンを偲ぶ一文が添えられている。

アイシャ・タコウ、
アルマン・ハギオ、
ファイザ・ハッサン、
「黄金のアデーレ 名画の帰還」のヘレン・ミレン
バボー・シーセイ、
ヴェルサイユの宮廷庭師」のアラン・リックマン
「Emma エマ」のジェレミー・ノーサム、
キック・アス ジャスティス・フォーエバー」のモニカ・ドラン、
ある公爵夫人の生涯」のリチャード・マッケーブ、
バイオハザード ザ・ファイナル」のイアン・グレン
エクソダス 神と王」のアーロン・ポール
フィービー・フォックス、
ギャヴィン・フッド
キャプテン・フィリップス」のバーカッド・アブディ共演。

原題「EYE IN THE SKY」
2015年 イギリス制作。