おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

人魚姫

雨上がりの曇り空。
気温上がらず寒い一日。
今年もりそにゃのチョキチョキカレンダーをもろてきた。

映画「人魚姫」を観た。

工場の煙突からもうもうと立ち昇る煙。
無残に伐採された森林。
河川には大量の汚水が流れ込み、海洋生物は乱獲されてゆく。
安くて便利な我々の生活と引き換えに失われゆくものを捉えた映像から物語は幕を開ける。

ここは青羅湾。
もともとイルカの保護区でもある豊かな湾だ。
このたび、その一帯を若き富豪が3億元で落札した。

一代で財を築いた叩き上げの彼は、不動産開発会社の令嬢をビジネスパートナーに、湾の埋め立てによって元手を大きく上回る利益を稼ぎ出すつもりだ。

そこで湾に設置したソナーで魚やイルカを撃退。
晴れて政府から埋め立て許可を取り付けようとしていた。

さて、この湾は、実は人魚たちの住処でもあった。
人間たちが仲間を傷つける兵器みたいなソナーを設置しやがったものだから、湾に出ること叶わず、崖下にひっそりと隠れるように佇む難破船に身を寄せている。

人間たちによるこれ以上の開発は、彼らの生存に関わる脅威だ。
そこで、人魚たちはハニートラップ作戦を強行することにした。
富豪のもとに美女を送り込み、隙を狙って暗殺してしまおうという算段だ。

白羽の矢が立ったのが、豆粒のような目をした若き人魚。
美女とは言いがたいが、素朴で愛嬌のある娘だ。
その名もシャンシャン。

尾びれを二股に改造したシャンシャンは、ハイカットシューズとロングドレスで下半身を隠し、妙なちょこちょこ歩きで人間界に紛れ込む。

果てさて、人魚たちの暗殺計画の行方はいかに。

物語は、悲しい結末を迎える人魚姫を鬼才チャウ・シンチーが大胆にアレンジ。
強欲な人間の行いに異を唱える人魚の熱き戦いを、時にコミカルに、時に切なく描き出す。

失われてしまった自然は二度と取り戻せない。
うなるほどカネを稼いでもこの惑星に住めなくなってしまっては本末転倒だと物語はいう。
国の行き過ぎた拝金主義と乱開発に伴う環境破壊に警鐘を鳴らしている。

絶妙な間を持たせたドリフのコントを髣髴とさせるチャウ・シンチーらしい一作。
同じコントを引きずらず、テンポよく切り替え回してゆくためコメディにありがちな中だるみがない。

オッサン人魚、シャワーキャップを被ったオバハン人魚といった、人魚は若い娘ばかりという我々の固定観念を覆す、愛すべき濃ゆいキャラクターが次々と登場。
特にタコ兄は強烈で、主人公たちを押しのける作品の顔といってもいい存在だ。
彼はどこかイッテQの手越くんに似ている。

ダン・チャオ
キティ・チャン
ツイ・ハーク
ルー・ジェンユー
ジェリー・リン
西遊記 はじまりのはじまり」のショウ・ルオ、ウェン・ジャン、リー・ションチン、チウ・チーリン
チャン・メイ
ファン・シュージェン
少林サッカー」のティン・カイマン、ラム・ジーチョン共演

原題「美人魚」
2016年 中国、香港 制作。