おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

イカサマ貴婦人とうぬぼれ詐欺師

朝からどんより雨まじりの一日。
迎春用のかまぼこが店の売り場を占拠し始めた。
例年だとクリスマスが終わったタイミングのはずだが、今年はちと早いのか。

映画「イカサマ貴婦人とうぬぼれ詐欺師」を観た。

時は19世紀。
ここは男性客で賑わうサンフランシスコはバーバリーコートの酒場。
セクシーな身のこなしで下着姿の踊り子たちが入場してきた。
おや?
ひとりの紳士に狙いを定めた二人が、客を取り合って取っ組み合いのケンカを始めたよ。
そんなあられもないオープニングロールから物語は幕を開ける。

コケティッシュで負けん気の強い踊り子の源氏名はブルーバード。
踊り子と娼婦で日銭を稼ぐ彼女。
でも、もういいかげんこんな世界からは足を洗いたいよ。

そう思っていた矢先、子どもたちの家庭教師を探してこの町を訪れたソルトレークシティの裕福なモルモン教徒の存在を知る。
モルモン教徒は一夫多妻だ。
その妻のひとりに収まれば一生遊んで暮らせるに違いない。
しかし彼女には身なりを整えるだけのカネが無い。
さあ、どうしたものか。

さて、そこから数百キロほど南のボルダークリークの町にポーカーの卓を囲むイカサマ師がいた。
女にはモテるが脇が甘く、失敗の多い三流イカサマ師だ。
このたびそいつが銀行強盗団から4万ドルものカネをくすねサンフランシスコへ逃げてきた。

ブルーバードがステージに立つ場末のキャバレーで出会う二人。
うぬぼれ屋のイカサマ師は彼女をモノにしようとしきりにアプローチをするが、彼女はどこ吹く風さ。
ところが、こいつがまとまったカネを持っていることを知るないなや豹変。
ホイホイと彼の部屋について行き、手馴れた調子でシャンパンにクスリを仕込み、カネを持ってトンズラしちまったよ。

こうして彼女は、イカサマ師からくすねたカネで身なりを整えると公爵夫人を名乗り、首尾よく家庭教師の職を得てソルトレークシティ行きの駅馬車に乗り込むのだった。

一方、イカサマ師の方は大変だ。
目覚めたらカネは無くなっているわ、強盗団の追っ手は来るわで一気に大ピンチ。
愛馬ブラックジャック号を走らせほうほうの体で町を逃げ出し、道の先を行く駅馬車になだれ込むように乗り込んだ。

おや?
そこにはどこかで見覚えのある貴婦人がッ。
ひょんなシチュエーションで鉢合わせしてしまった二人。
果てさて一体どうなることやら。

物語は、せしめたカネのせいで強盗団に追われる羽目になった男女の顛末を描くウェスタンコメディ。

互いに人を騙してナンボの商売。
信じるものはカネだけ。
そんな男女が、より大金を求めて手を組むことになった。
怒涛のような危機を乗り越えてゆくうちに、二人の間にいつしか腐れ縁のような絆が芽生えてゆく。
ロマンスよりもむしろバディームービー的な色合いが濃い。

気が緩むとつい娼婦のボロが出てしまう、あやうい公爵夫人の所作が見どころ。
ブルーバードお得意の隠語をちりばめたエロい歌は、娼婦が歌うのと公爵夫人が歌うのとでは全く印象が異なって見えるから不思議だ。
人は見た目が9割だという。
我々がいかに視覚的印象に左右されやすいのかということがよく分かる。

小悪魔的なゴールディ・ホーンがとってもキュート。
そこそこテンポ良くコメディとしては上出来な一作。

サボテンの花」のゴールディ・ホーン
ジョージ・シーガル
セイヤー・デヴィッド
コンラッド・ジャニス
クリフォード・タークネット
E・J・アンドレ
ロイ・ジェンソン
ボブ・ホイ
ベニー・E・ドビンズ
ウォルター・スコット
ジェリー・ガトリン共演。

原題「THE DUCHESS AND THE DIRTWATER FOX」
1976年 制作。