おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ペイチェック 消された記憶

朝からどんより薄暗い空模様の一日。
米津玄師に始まった亥年
情緒ある詩が楽曲の向こうの物語にぐっと惹き込む。
忘れられない一曲になりそう。

映画「ペイチェック 消された記憶」を観た。

ここはハイテク企業の新製品発表会。
半身がモニターからせり出した女性が映し出されている。
仕事にも遊びにも使えるのが売りの三次元モニターだという。
これを早速買い求めた男は、企業の研究室に籠もり分解を始めた。

それから2ヵ月後。
彼は、この技術を盗用しモニターを必要としない三次元ホログラムを作り上げた。
そんなシーンから物語は幕を開ける。

彼はフリーランスの優秀な技術者。
ライバル他社が数年がかりで開発した技術をパクっては、数ヶ月で製品化にこぎつける。
開発スピードが命の企業にとってなくてはならない影の存在だ。
ただし、依頼主の企業は、彼との雇用契約をはじめ悪事の証拠を一切残したくない。

そこで担保として、彼が仕事を終えるたびに開発に要した数ヶ月分の記憶を消去する契約を結んでいる。
それは企業の秘密だけでなく、犯罪の片棒を担ぐ彼自身を守るための仕組みでもあった。

でも数ヶ月とはいえ、記憶の消去を繰り返せば人生はどんどん短くなってゆく。
人生を切り売りしながら報酬を得る自分。
ものづくりは好きだが何も記憶に残らない。
このままでええんやろうか。

さて、そこへある大きな仕事が舞い込んできた。
開発期間はちと長いが、一生遊んで暮らせるほどの高額報酬だという。
これを最後に引退するつもりで彼は仕事を引き受けることにした。

それから数年後。
開発を終え記憶を消去した彼は、弁護士を介して預けた私物入りの茶封筒を受け取った。
ところが肝心の報酬は数週間前に彼自身が放棄したというではないか。

そんなことありえへん。
何のための数年間やったんや。

しかも、政府の極秘技術を盗んだ疑いでFBIに追われる立場になってしまった。

はて自分、いったい何を開発したんやろ?

記憶のない彼に残された唯一の手がかりは、手元にある私物入りの茶封筒だけ。
見覚えのない腕時計やサングラス、マッチにヘアスプレー、クリップ、その他。
このガラクタみたいな20ほどのアイテムをたよりに、彼は事の真相を探り始めるのだった。

物語は、失われた自身の記憶を辿ってゆく男の姿を描いたSFアクションサスペンス。

彼の急場を救う謎のアイテムは、記憶を失う以前の自分が描いたシナリオへと導くツールだ。
テンポ良く進む、このわくわくする探索の過程が見どころ。

ただ、未来のスゴイ技術をアレコレ並べているけれど、セットを含めた全体の設定はわりと雑。
当たり前のように描かれている記憶をピンポイントで消去する技術があまりに突出しすぎていて、肝心の主人公の開発品が色あせて見える始末。
おかげで子供だましの安っぽい仕上がりになってしまった惜しい一作。

ザ・コンサルタント」のベン・アフレック
モーガン プロトタイプ L-9」のポール・ジアマッティ
キャスリン・モリス
「二ツ星の料理人」のユマ・サーマン
アイ・フランケンシュタイン」のアーロン・エッカート
「エージェント ライアン」のコルム・フィオール
アメリカン・ギャングスター」のジョー・モートン
「キル・ユア・ダーリン」のマイケル・C・ホール
イワナ・ミルセヴィッチ共演。

原題「PAYCHECK」
2003年 制作。