おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

クローサー

曇りがちな寒空の一日。
汲み置き水の入れ替えをした。
震災以降の習慣だ。
寒の水は腐りにくいと言うが、ひと月を過ぎれば飲料には向かない。
それでも未開封のペットボトルとは別に、年に数回ダンボール数箱分を汲んでおく。
濯いだり汲んだりとなかなか面倒な作業だ。
これを使う日が来なければいいんだけれど。

映画「クローサー」を観た。

通勤の人々が行き交うロンドンの雑踏。
人波に紛れ新聞記者の男がゆく。
向こうから歩いて来るのは、鮮やかな赤に染めたショートカットの若い女性。
くすんだ風景の中、ひときわ輝く彼女の姿を彼の目線は捉えた。
互いに見つめ合う二人。
すわ、これは恋の予感かッ。

次の瞬間、思いがけない事故が起こった。
彼女が信号を見落とし車と接触
死んじまったのか?
慌てて駆け寄った彼に、彼女はにっと微笑んでいう。

ハロー、ストレンジャー

それを聞いた彼は、ほっと胸をなでおろすのだった。
そんなドキッとするようなシーンから物語は幕を開ける。

ニューヨークから来た旅行者だという女性の怪我は幸いかすり傷。
病院に付き添った彼は、行くあてのない彼女とたちまち意気投合。
この出会いに運命を感じ、二人は共に暮らし始めるのだった。

さて、それから数年。
ニューヨーク時代はストリッパーだったという彼女の怒涛の半生を書き起こし、彼はこのたび念願の作家デビューを果たす。
とはいえ、恋人の過去を好奇の目に晒すとは、一体どういう神経をしているのだろう。

そればかりではない。
書籍用のポートレートを撮影するべく向かったスタジオで、彼は女流写真家に一目惚れ。
あどけなさの残る彼女とはまるで違うタイプの、この落ち着いた大人の女性にのめり込んでゆく。

あれれ、冒頭の運命の出会いは何だったのだろう。
彼女とは一体どうなってしまうのだろうか。

物語は、三角関係から四角関係にまで発展してゆく、嫉妬と情念に狂う恋人たちによるドロドロの愛憎劇。

他人の全てを理解するのは難しい。
信頼は一方的な幻想に過ぎないと物語はいう。

嘘と真実で互いに傷つけあう、自分に甘く他人には厳しさを求める面々の見苦しい言い訳を延々聞かされているような印象。
会話劇に主軸を置いているが、登場人物の背景についてほとんど語られることがないまま表面的な会話に終始している。
深みに乏しく会話が心に入ってこない、残念な一作。

「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」のジュード・ロウ
「ジェーン」のナタリー・ポートマン
マネーモンスター」のジュリア・ロバーツ
「イントルーダーズ」のクライヴ・オーウェン共演。

原題「CLOSER」
2004年 制作。
R-15+