おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ハンガー

北部では雪になるという。
午後になって、にわかに空が暗くなってきた。
引き続き冷え込み厳しい一日。

映画「ハンガー」を観た。

青いライトが照らし出すニューヨークのクラブ。
グラムロックなファッションに身を包んだ客が入り乱れる中、獲物を探すミステリアスな男女がいる。
それぞれターゲットに狙いを定めると、手馴れた調子で誘惑し、ひと気の無い屋敷へと連れ出す。
妖艶な二人のヴァンパイアによる血の晩餐から物語は幕を開ける。

さて、ここに美しいヴァンパイアの青年がいる。
数百年前、これまた美しいヴァンパイアのマダムから血をもらい、マダムと永遠を共に生きる愛人になった。

これまで週に一度の狩りで変わらぬ美貌を保ってきた彼が、どういうわけだかここしばらく不眠症に悩まされている。
それだけではない。
眠らないせいか老化が始まり、日ごとにそのスピードを増してゆくのだ。
おお、考えただけでもオソロシイ。

・・・なあ、永遠だよな?

不安に襲われる彼はしきりに問うが、マダムは曖昧な笑みを浮かべてはぐらかすだけ。

血を分け与えられた自分は、マダムのような純血のヴァンパイアとは違うのだろうか。

ちょうどそんな時、ある女研究者のテレビインタビューを見た。
肉体が急速に老化してゆく原因不明の病を研究しているという。
病のカギを握る原因因子が分かれば、逆に不老不死も夢ではないというのが彼女の持論だ。

彼女なら老化をくい止める手立てを知っているかも。
そこで彼は、現代医学に救いを求めるべく、彼女の研究所へ向かうのだった。

物語は、ヴァンパイアの永遠の代償に迫る耽美なホラーサスペンス。

推して知るべしといった手法で、二人のヴァンパイアの回想が所々に差し込まれている。
その映像を頼りに、彼らの気の遠くなるほどの永遠に触れる。

いつまでも若く美しくありたい。
誰もがそう願ってやまないが、長すぎる人生というのも酷なようで、彼らの日常には倦怠感しかない。
我々の緩やかな老化を経た死は魂の解放、すなわち救済なのだよと物語はいう。

それはそれはふつくしいデヴィッド・ボウイの御姿は一見の価値あり。
序盤は、ほぼ彼のプロモーションビデオといってもいい。

ところで、なぜヒロインが復活を遂げたのだろうか。
彼女が研究していた肉体が衰える病の因子と、ヴァンパイアが持つ永遠の因子とが混じり合い、新たに純血のヴァンパイアを生み出した捉えるのが妥当か。
耽美な映像にばかりこだわりすぎて説明に乏しく消化不良気味に終わる中途半端な一作。
残念。

「ズーランダー」のデヴィッド・ボウイ
「神様メール」のカトリーヌ・ドヌーヴ
「タミー TAMMY」のスーザン・サランドン
「わたしに会うまでの1600キロ」のクリフ・デ・ヤング
ベス・エラーズ
「誘う女」のダン・ヘダヤ共演。

原題「THE HUNGER」
1983年 制作。