おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

ポランスキーの欲望の館

日差しが足りず、建屋のコンクリートがすっかり冷え切っている。
寒空続きの一日。

映画「ポランスキーの欲望の館」を観た。

ゴンドラの向こうは異世界でした。

暗い山道を一台の車が行く。
賑やかなイタリア男らに混じって、世界をヒッチハイクで旅する冒険好きなアメリカ娘が同乗している。
彼女いわく、これまでに出会った人々はみな親切で、一度も危ない目に遭ったことがないという。

本当にそうかな?

3人のイタリア男たちは、それではイタダキマスとばかりに車を停めると彼女に襲い掛かった。
全ての人が善良というわけじゃない。
彼らは、はなからそのつもりだったのだ。
すわ、乙女の大ピンチ。

彼女は、すんでのところでレイプ野郎たちから身をかわすと、道路わきにあったゴンドラに駆け込んだ。
ああ、危ないところやった。
闇夜をするするとゆくゴンドラは、やがて海辺の斜面に立つ瀟洒なホテルに辿り着く。

助けを求め、なんとか一夜のベッドを借り受けることができたものの、彼女は着の身着のまま。
車から逃げる時に持ち出せたのは旅を記録した日記帳だけ。
パスポートも着替えも無くしちゃったよ。
これからどうしたらいいのだろう。

さて翌朝、脱いだはずのTシャツが無いことに気づく。
ああ、踏んだり蹴ったりだ。
やむなく彼女は日記帳で胸を隠し、Tシャツを探して迷路のような建屋を散策し始める。

・・・おいおい、シーツでも巻けよ。

ここの人々は、どういうわけか問いかけても痴呆老人のようにまともな答えが返ってこない。
奇妙な彼らは意味の分からぬ言葉遊びを楽しんでいるのか。
それとも・・・?

物語は、海辺に面した迷路のようなホテルで繰り広げられるエロティックなミステリー。

好奇心旺盛なヒロインのサービスシーンをふんだんに織り交ぜながら、まともに意思の疎通がはかれない奇妙な人々による奇妙な出来事を淡々と見つめてゆく。

何なの?
ワケわかんないというのがタイトルであり、本作品のテーマのようだ。

フェリーニの「8 1/2」や「女の都」のごとく、構想がまとまらずスランプに陥った作り手がヤケクソで作っちゃいました的な一作。
どんなクソ作品もアホな観客は芸術だと持てはやすのさ、とでも思っているのだろうか。
作り手の悪意を感じる。
また、女性を豚になぞらえているあたりは女性蔑視で、今の時代には受け入れられない。
忌々しい駄作。
残念。

シドニーローム
ヘニング・シュルター
クリスチャン・バリー
「女の都」のマルチェロ・マストロヤンニ
ジャンフランコ・ピアチェティー
「ベニスに死す」のロモロ・ヴァリ
グイド・アルベルティ
「おしゃれ泥棒」のヒュー・グリフィス
エリザベス・ヴィッテ共演。

原題「CHE?」
1972年 イタリア、フランス、西ドイツ制作。