おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

残穢 住んではいけない部屋

一月も残すところあと一日となった。
仕舞っていた節分用の飾りを出すのをすっかり忘れていた。
日差しのありがたみをひしひしと感じる晴天の一日。

映画「残穢 住んではいけない部屋」を観た。

ここに、読者から送られてきた怖い体験談を集め、編纂するのを生業としているオカルト専門の女流作家がいる。

今日もさっそく編集部に届いた投稿文の手紙の束を受け取った。
その中に、ひとつ気になる投稿があった。

差出人は、建築を学ぶかたわらミステリーサークルに所属する女子大生。
賃貸マンションで一人暮らしを始めてほどない彼女。
ふと和室から畳を摺るような音が聞こえることに気づいたという。
それは、畳をホウキで掃いているかのような音で、どういうわけだか和室に背を向けている時にだけ聞こえるのだ。
姿は見えぬがさすがに気味が悪い。
事故物件を疑い不動産会社に問い合わせてみるも、過去にそういった事件は一切ないという。

なんと不可解な。
怪異には何か理由があるはずだが、それがまったく見えてこない。
しかも音だけ。
そのつかみどころのなさに女流作家は惹かれた。

さて、しばらく経って、例の女子大生から事の進展を知らせる手紙が届く。
同じマンションの住人の話によると、ひと部屋だけ人の入れ替わりの激しい部屋があるという。
ただし、その部屋は、彼女の部屋とはフロアも違えば部屋の位置関係も大きくずれている。

とはいえ、そのしともホウキに悩まされて出て行ったんやろか。

何があったのか、直接会ってそのしとに聞いてみたい。
でもさすがに不動産会社は住人の転居先までは教えてくれまい。

すると偶然にも、仕事がらみでそのしとの職場を知っているというマンション住人がいた。
さっそく教えてもらった職場に駆けつける彼女。
そこで驚くべきことを告げられるのだ。

その住人の若い男は、つい先頃亡くなったという。
しかも自殺だというではないか。

彼が死んだのはアパートの一室。
大家の話によると、前の住居で泣き声に悩まされていたのか、入居の際に周辺に赤ちゃんはいないかとしきりに気にしていたという。

ホウキでなくて赤ちゃん。
いったい何なんだ。
何が起こっているというのだろう。

こうして女流作家は女子大生に連絡を取り、怪異の真相について共に探り始めるのだった。

あまたの怪異の根源を辿れば、すべてひとつに繋がっている。
物語は、そんな仮説をもとに、ある賃貸マンションに端を発した怪異をひも解いてゆく、小野不由美 著「残穢」をほぼ忠実になぞった和製オカルトミステリー。

様々な怪現象は土地の穢れに起因する。
しかもそれは、人に憑いて土地から土地へと疫病のごとく伝染してゆくという。
震え上がるような話だ。
一人称「わたし」で淡々と語ってゆく主人公の雰囲気は原作そのもの。
フィクションというカタチを取っているが、とてもフィクションとは思えないあの恐怖が蘇る。

ところがどうしたことだろう。
作り手はこの作品の持ち味を理解できなかったようで、余計な演出を追加しやがり、浅はかにも既存の和製オカルトホラー様式に落とし込んでしまった。
これは伝聞の怖さをひしひしと噛み締める作品であり、目の前の怪異にギャアギャア騒ぐ作品ではなかったはずだ。
秀逸なオカルトミステリーだったのに、終盤からは安っぽいオカルトホラーに成り果ててしまった。
イロイロ惜しい一作。

ゴールデンスランバー」の竹内結子
山下容莉枝
橋本 愛
滝藤賢一
間宮兄弟」の佐々木蔵之介
坂口健太郎
稲川実代子
渋谷謙人
成田 凌
チーム・バチスタの栄光」の上田耕一 共演。

2015年 制作。