おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで

厚い雲が空を覆う、どんより暗い一日。

映画「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」を観た。

時は50年代。
ニューヨークのパーティで若い二人は出会った。
女は女優を目指し、男は未来を模索中だという。
夢と可能性に満ちあふれたこの美男美女はたちまち恋に落ちた。
そんな素敵なシーンから物語は幕を開ける。

それから数年。
子宝に恵まれ、緑あふれる郊外に住宅を買い求めた二人。
白い外壁の古風な佇まい。
それは彼らに相応しい素敵な住まいだった。
理想のカップル、理想の家・・・皆がうらやむ暮らし。
何もかもが完璧のはずだった。

しかし、心は一向に満たされない。

郊外から車と汽車を乗り継いで遠距離通勤をする夫。
仕事にやりがいもなく、生活のためにただ会社と自宅を行き来する、生気のないゾンビのようなサラリーマンの群れのひとりと化していた。
一方で妻は、女優としての芽が出ないまま専業主婦をしながら悶々とした日々を送っている。

そんなわけだから二人は、些細なことで言い争いが絶えない。

このままじゃ二人はダメになる。
あたしたち、人生の時間を無駄に浪費してるんじゃないかしら。

そこで妻は、夫に憧れのパリ行きを提案。
自宅を売却し、預金を取り崩してパリで自分探しをしようというのだ。

仕事のあてもないパリ行きなど荒唐無稽な計画である。
とはいえ、夫にしてみればつまらない仕事を辞める絶好のチャンス。
妻に促され、漫然とした日常に疲れていた彼もまた環境を変えることを望むのだった。

さて、仕事を辞めるとなったらもう彼の心はウキウキ。
そこで、どうにでもなれーと、ぞんざいにやった仕事がまさかの大当たり。
一気に昇進の道まで開けてしまったではないか。

やっぱり自分、天才やったんや。
こうして妙な自信が付いてきたところで、パリ行きへの雲行きが怪しくなるある出来事が起こるのだった。

物語は、誰もが理想と持て囃す、ある夫婦の内面に迫ったヒューマンドラマ。

幸せの多寡は見た目だけでは推し量れない。
夢や理想にとりつかれ自分を見失ってゆく夫婦の顛末を通し、人生足るを知ることも肝要だと説く。

大きな幸せを追い求め、目の前にある小さな幸せが見えなくなってしまっている彼ら。
自分探しに終わりはないから、おそらくパリに拠点を移したとしても再び同じ事が繰り返されたことだろう。
自分探しという呪いに苦しむ人々に向けた一作。

「レヴェナント 蘇えりし者」のレオナルド・ディカプリオ
ヴェルサイユの宮廷庭師」のケイト・ウィンスレット
わたしの可愛い人 シェリ」のキャシー・ベイツ
リチャード・イーストン
「ミッドナイト・スペシャル」のマイケル・シャノン
「ヴィジット」のキャスリン・ハーン
「誘拐の掟」のデヴィッド・ハーバー
ゾーイ・カザン
「ゾンビーノ」のディラン・ベイカー共演。

原題「REVOLUTIONARY ROAD」
2008年 アメリカ、イギリス制作。