おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

恐怖

引き続き雲優勢の空模様。
気温上がらず寒い一日。
立春を過ぎ、植物たちも冬眠から目覚め始めたようだ。
連日の冷え込みもものともせず、オレンジの苗木の先端から新芽が吹き始めた。

映画「恐怖」を観た。

雪山を望む湖畔。
岸辺には捜索隊が駆けつけ、やけに物々しい雰囲気になっている。
いくつものボートが捜索に当たる中、ほどなく女性のホトケさんが上がった。
そんな前置きから物語は幕を開ける。

ここニースのコート・ダジュール空港に車椅子の若い女性が降り立った。
10年ぶりに帰省した彼女を、屋敷の専属運転手が出迎える。
あいにく父上は仕事で留守にしており迎えには来れられないという。

離婚した母とずっとイタリアで暮らしていた彼女。
母亡き後も姉妹のように寄り添っていた世話係の女性が、つい先頃溺死してしまったのだという。
泳げたはずなのに一体どうして・・・。
ただでさえ神経症気味なところへ、そんな出来事があったものだからますます心沈みがち。
そんな彼女を心配し、父のもとで一緒に暮らそうとこのたび継母が気を利かせてくれたのだ。

屋敷に到着すると、継母がにこやかに出迎えてくれた。
継母と会うのは初めてだが、屋敷は車椅子の彼女のためにバリアフリー化もなされており、なんだかとってもいいしとみたい。

さて、その夜更けのことじゃった。
物音に目覚めた彼女。
プールのある中庭をはさんだ離れで灯りが揺らめいているのが見えた。

なにかしら?

車椅子でそろそろと近づき、扉を開けてびっくり。
物置きと化したそこにはロウソクの炎が揺らめき、目をかっと見開いた父の遺体が椅子にもたれかかっているではないか。

ひいぃぃぃぃ。

パニックになった彼女は車椅子ごと中庭のプールに転落してしまったよ。
騒ぎに駆けつけた使用人に助け出され事なきを得たが、父の遺体を見た彼女の心は静まらない。

そこで、継母をはじめ屋敷の者全員で離れを検分することになったが、そこはただの物置き。
遺体もロウソクも存在しなかった。

でも、さっきのあれは幻覚なんかじゃない。
確かにこの目で見たわ。

父は仕事で留守にしているだけだというが本当だろうか。
実はもう死んどるんちゃうやろか。
こうして彼女の疑心は、むくむくと膨らんでゆくのだった。

物語は、父の屋敷を訪れた車椅子の女性が、不気味な幻覚に追い詰められてゆく様子を描いたサスペンススリラー。

彼女は正気を失っているのだろうか。
それとも全ては彼女を陥れるために仕組まれた罠なのか。

ひと気も無くひっそりと静まり返った屋敷の佇まい。
そして、疑念を抱かずにはいられないどこか怪しげな屋敷の面々。
車椅子で思うように身動きの取れないヒロインのシチュエーションもあいまってヒヤヒヤさせられる。

二転三転してゆく終盤の展開に驚く。
観る者の思い込みを上手く利用した見事な一作。

スーザン・ストラスバーグ
ロナルド・ルイス
アン・トッド
ロード・オブ・ザ・リング」のクリストファー・リー
フレッド・ジョンソン
アン・ブレイク共演。

原題「SCREAM OF FEAR」
1961年 イギリス制作。
モノクローム