おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

アイデンティティー

春のような風吹く曇り空の一日。
確定申告の受付が始まった。
e-Taxスマホ申告だとあれこれ宣伝をしているわりに税務署の混み様は例年と変わらず。

映画「アイデンティティー」を観た。

日も落ちた裁判所に激震が走る。
事件の証拠となる資料が新たに見つかり、執行を明日に控えた死刑囚の再審理が急遽真夜中に行われることになった。
この死刑囚、弁護側によれば解離性同一性障害だという。
死刑囚のセッションを録音したテープから、個々の人格を洗い出そうとする精神科医の姿から物語は幕を開ける。

ここはネバダ州。
カーステレオからは雷雨に関する気象情報が流れている。
この怪しい雲行きの中、荒野の一本道を疾走するオープンカー。
運転席の売春婦が荷物をまさぐっているうちに、トランクの蓋が開き中の荷物がぶちまけた。

道路上に転がり落ちた彼女のピンヒール。

後にこれを、子連れの夫婦が運転する車が踏み抜いた。
日もとっぷりと暮れた嵐の中、車外でパンク修理をするはめになった夫婦。

そこへやってきたのは、女優とその雇われ運転手の車。
前方不注意の彼は気づくのが遅れ、パンク修理を手伝っていた妻を轢いてしまったよ。
なんという負の連鎖。

ケータイが通じず緊急車両も呼べない。
そこで一行は、荒野のど真ん中の寂れたモーテルに瀕死の怪我人を担ぎ込んだ。

しかも大嵐による洪水で道路は寸断。
先の売春婦をはじめ、行き場をなくした面々が続々とこのモーテルに集まってくる。

その中には、移送中の囚人を連れた刑事の姿もあったものだから、嵐に加えて一気に不穏な空気が漂い始めた。
おそらくこれ、冒頭の死刑囚に違いねえ。

さて、支配人も含め総勢11名になったモーテル。
そこで事件は起こる。
何者かの手によって、彼らはひとり、またひとりと残酷な手口で殺害されてゆくではないか。

殺人鬼はだれ?
死刑囚の仕業なのか。
それとも・・・。

物語は、嵐の晩にモーテルに集った面々に襲い掛かる殺人鬼の恐怖を描いたサイコスリラー。

登場人物のいずれもが何やらワケアリの怪しい面々だ。
観客は殺人鬼となりうる人物をアレコレ推理しながら事の成り行きを見守る。
サスペンススリラーからオカルトホラーに転じる可能性までにおわせている手の込みようだ。

観客の思い込みを上手く利用した、中盤以降の大どんでん返しが見どころ。
彼らは嵐のモーテルから逃げ出せない。
閉じた世界、さながら煉獄に囚われているかのよう。
それに気づいた時、ようやく謎が解ける。
ミステリー好きにはたまらない一作。

チェンジング・レーン」のアマンダ・ピート
「バーニング・クロス」のジョン・C・マッギンリー
レイラ・ケンズル
ブレット・ローア
「セル」のジョン・キューザック
レベッカ・デモーネイ
「ロスト・エリア 真実と幻の出逢う森」のジョン・ホークス
「アルゴ」のクレア・デュヴァル
バタフライ・エフェクト」のウィリアム・リー・スコット
「DEMON デーモン」のレイ・リオッタ
「コンタクト」のジェイク・ビューシイ
「シークレット・アイズ」のアルフレッド・モリーナ、
「フライペーパー!史上最低の銀行強盗」のプルイット・テイラー・ヴィンス共演。

原題「IDENTITY」
2003年 制作。
PG-12