おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

バンク・ジョブ

思いのほか晴れず、曇りがちな一日。
オレンジの幼木が春枝をにょきにょき伸ばし始めた。
そこで、冬の間、室内に取り込んでいたアルテシーマゴムやヘデラと共にベランダに出してやることにした。
ベランダは賑やかになったものの、緑がごっそりなくなったせいだろうか。
室内が急激に寒々しくなってしまった。
緑の癒やし効果はあなどれない。

映画「バンク・ジョブ」を観た。

時は1971年。
英国政府は、左翼誌がやたら持ち上げるある黒人活動家に手を焼いていた。
マルコムXに傾倒し貧者の味方を自称しているが、やっていることは暴力による恐喝や麻薬の密輸。
チンピラとさして変わらない。
ところがいくら起訴されても、この男に有罪が下ることはなかった。

なぜなら、彼はある国家機密を握っていたのだ。
国家の威信に関わる王室のハレンチなスキャンダル写真である。
そのため検察も内務省も手出しが出来ない。

この事態を打開すべく、ついに諜報機関MI-5が動き始めた。
いわくの写真は、かの有名なベイカー街185番地にある銀行の貸金庫に眠っているという。
これをなんとか秘密裏に奪うことは出来ないものか。

表立った行動が出来ない彼らは一計を案じた。
町の強盗に金庫を破らせるのだ。
写真さえ頂戴すれば、あとは強盗らがどうなろうが知ったこっちゃない。
役人の彼らにとって一般市民など捨て駒同然なのだった。

さて、ここロンドンの下町に、借金で首が回らなくなってしまった中古車販売業の男がいる。
ちょうどそこへ昔馴染みの女が例の銀行強盗話を持ちかけてきた。

貸金庫の中身は秘密の隠し財産。
たとえ盗まれても表には出せないブツばかり。
よって追われることはないはず。

そこで彼は下町の仲間をかき集め、一生に一度の大勝負に挑むのだった。
それがMI-5の策略とも知らずに。

さあ、寄せ集めの小悪党らによる強盗計画の行方はいかに。

物語は、銀行の貸金庫に保管されていたヤバイブツを巡るクライムサスペンス。

おそろしきかな貸金庫。
それはあらゆるネタの宝庫だった。
王室スキャンダルに留まることなく、警官への賄賂を記した闇帳簿から政府高官のスキャンダルがざくざくだ。
何も知らない彼らは、国家権力のみならず裏社会からも追われる羽目に陥る。
金庫破りそのものではなく、小悪党らがこの八方塞りの事態をどう打開してゆくのかが物語のハイライト。

実際に起こった事件をかいつまんで分かりやすく表現するという試みでは成功している。
ただ、人物描写が浅く感情移入がしにくい。
借金があるとはいえ家庭を持った責任ある立場の男が、いまさら危険な大勝負に出たいなんて思うだろうか。
この主人公の動機付けが腑に落ちないものだから、四つ巴の争奪戦もどこか緊張感に乏しい。
大好きなステイサムさんには悪いが、抑揚のない再現ドラマで終わってしまった一作。
残念。

リチャード・リンターン
Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」のハティ・モラハン
ピーター・デ・ジャージー
ワイルドカード」のジェイソン・ステイサム
「スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち」のサフロン・バロウズ
「デビルクエスト」のスティーヴン・キャンベル・ムーア
ビザンチウム」のダニエル・メイズ
アンダーワールド ブラッド・ウォーズ」のジェームズ・フォークナー
アルキ・デヴィッド
「宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ」のマイケル・ジブソン
キーリー・ホーズ
名探偵ポワロ」のデヴィッド・スーシェ
「ヴィクター・フランケンシュタイン」のアリスター・ペトリ
「追憶と、踊りながら」のピーター・ボウルズ共演。

原題「THE BANK JOB」
2008年 イギリス制作。
PG-12