おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

オオカミは嘘をつく

ぼんやりと薄日の差す一日。
暖かかったり冷え込んだり。
この気温の変化についてゆけず、珍しく風邪気味の日が続く。

映画「オオカミは嘘をつく」を観た。

林の木に顔を伏せている少年。
その間に2人の少女は駆け出し、廃墟に立ち入るとそれぞれに身を隠す。
ほほう、かくれんぼか。

ところが、この廃墟に潜んでいたのはかくれんぼの子供たちだけではなかった。
クローゼットに身を隠したはずの少女が忽然と姿を消してしまう、そんな不穏なシーンから物語は幕を開ける。

さっそく事件の容疑者が浮上。
ひ弱そうで、虫も殺さぬような高校教師だ。
監視に当たっていた刑事が暴走し、人目につかない場所で暴力による尋問が行われる。
しかし容疑者は知らぬ存ぜぬを繰り返すばかり。

・・・本当に知らないのかも。

証拠もないまま強引に口を割らせようとした、この刑事の行動が裏目に出てしまったのだろうか。
ほどなく少女は首のない見せしめのような惨い遺体となって発見されるのだ。

しかも、非合法ともいえる例の尋問映像がユーチューブに流れ、刑事は停職。
一方で、噂が広まり容疑者の教師も職場を追われてしまう。

・・・誤認やったらどうするんやこれ。

それでも刑事は、こいつは絶対にクロだと信じて疑わない。
はて、その自信はいったい何を根拠にしているのだろう。

職務を解かれ自由の身となった刑事は、再び容疑者を捕らえ強引に口を割らせようとする。
その時、そこに第3の男が現れた。

殺害された少女の父親だ。
復讐に燃える彼は、人里離れたロッジの地下室に拷問部屋を用意していた。
そこに刑事と容疑者を連れ込んで縛り上げるなり、彼は言う。

これから娘が受けたのと同じ拷問を順に行う。
ただし、娘の頭部のありかを吐けば、そこから先は楽に死なせてやるぞ。

長時間拷問されれば誰でも自白する。
だが、無実だったらどうする?
わたしにも娘がいる。
娘を持つ父親は絶対にそんなことはしないッ。

容疑者の必死の訴えに、同じく娘を持つ刑事の心はぐらついた。
しかし、少女の父親は耳を貸そうともしない。

さあ、こうして始まった悪夢のような拷問の行方はいかに。

物語は、少女殺害事件の容疑者と刑事、そして被害者の父。
拷問部屋という密室の中でこの三者が繰り広げる手に汗握るサスペンススリラー。

誰が狂っていて、誰がまともなのか。
次第に分からなくなってゆく。
なぜなら、一番理性的でまともに見えるのが容疑者だから。

神経をがりがりと磨り減らすような残酷極まりない拷問の合間にブラックユーモアを織り交ぜている。
そのちょいと気の抜けたやり取りが見どころ。

狂気はどこに潜んでいるかわからない。
直感や経験で推し量れるものでもない。
我々の他人を見る目というものはそうあてにならないものだとつくづく思った。

それと気づかせないような伏線の使い方が実に上手い。
観客もろとも騙される一作。

リオル・アシュケナージ
ロテム・ケイナン
ツァヒ・グラッド
ドヴ・グリックマン
ドゥヴィール・ベネデック
メナシェ・ノイ
ナティ・クルーゲル
カイス・ナシェフ共演。

原題「BIG BAD WOLVES」
2013年 イスラエル制作。
R-15+