おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

キカ

朝からどんよりした空模様。
風もなく気温高めの一日。
公園や道端の桜が咲き始めた。

映画「キカ」を観た。

スタジオで下着のモデルを前にカメラのシャッターを切りまくる青年。
彼は若きコラージュアーチスト。
日も高いうちに仕事を終え、車をぶっ飛ばし実家のヴィラに向かった彼。
到着するなり銃声を耳にした。

ああ、なんてこと。
母が拳銃自殺。
止めようとした母の再婚相手も怪我を負っている。
いったいどうして・・・。
そんな、ただごとではないシーンから物語は幕を開ける。

ここに、大勢の生徒を前にメイクの講師を務める女性がいる。
彼女の名はキカ。
オバハンやけど、年齢のわりにどこかふわふわとした無邪気で可愛らしさのある女性だ。

彼女は、テレビ局の仕事がきっかけでロマンスグレーの米国人作家に出会った。
妻の殺害を疑われている彼は、なんと大胆にも自身の実生活を題材にしたサスペンス小説を書き上げたのだという。
番組の控え室でサインと電話番号をもらい、恋人として付き合うようになった彼女。
このたび冒頭のヴィラに招待された。

到着するなりロマンスグレーは驚くべきことを言う。
死んだ息子に死化粧を施して欲しいというのだ。
びっくりしたけれど、遺体の化粧も彼女の仕事のうちだし快く引き受けた。
ベッドに横たわるホトケさんは、女にモテそうな美しい青年だ。
まあ、出会っていたらきっと恋に落ちていたわね。ウフフ。

わたし変人ばかり好きになっちゃうのよねー。
デートかと思いきや死化粧を頼むとか、あんたのお父さんも大概変人よねー。
ぼやきながら手馴れた仕草でファンデーションのスポンジを滑らせる彼女。
その時じゃった。
眠れる森の美女のごとく青年が息を吹き返したではないか。

さて、恋に落ちたキカは、だいぶ年下のこの青年と同棲を始めた。
一方で、ロマンスグレーともちょくちょく逢瀬を重ねている。
それは、青年には内緒の奇妙な三角関係じゃった。

物語は、無邪気な女と愉快な変人たちが繰り広げるコミカルなサスペンス。

サイコキラーの心理に酔う女番組制作者
キカに惚れているレズビアンのメイド
脱獄犯のポルノ男優
脇を固めるこれらとてつもなく強烈な個性を放つキャラクターに目を奪われる。

本筋はある事件の顛末を追って行くというものだが、もはやその本筋が何だったか途中で忘れてしまいそうなほど、捉えどころのない奇天烈なストーリー展開。

度肝を抜くコスチュームで毎回登場する女番組制作者の衣装が見どころか。
また、忌々しいレイプを愉快なコメディに仕立ててしまう作り手のセンスは驚くべきもので、不覚にも笑ってしまった。

ヒロイン役ヴェロニカ・フォルケはエイミー・アダムスになんとなく雰囲気が似ている。

ヴェロニカ・フォルケ
「欲望の帝国 女優ディディの告白」のピーター・コヨーテ
アレックス・カサノバ
ビクトリア・アブリル
ジュリエッタ」のロッシ・デ・パルマ
サンティアゴ・ラフスティシア
アナベルアロンソ
ビビアナ・フェルナンデス共演。

原題「KIKA」
1993年 スペイン、フランス制作。
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