おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

6才のボクが、大人になるまで。

改元を迎えた今日は、どんより雨まじりの一日。

映画「6才のボクが、大人になるまで。」を観た。

水をね、空中にピシャッと飛ばすとそれが蜂になるんだよ。
仰向けになって寝そべり、青い空と流れる雲を見つめながらスズメバチ誕生のひみつを考えている、想像力と好奇心にあふれた幼い少年の姿から物語は幕を開ける。

少年は、年の近い姉とシングルマザーの母ちゃんとの三人暮らし。
仕事と子育てに追われ、恋人ともうまくいってない母ちゃんは、このままではアカンと一念発起。
ヒューストンへ引越し、良い仕事に就くため大学に復学するのだという。

へー、シングルマザーでも子育てしながらキャリアアップが可能なのか。
キャリアもないまま社会のレールからいったん外れてしまうとほぼ詰む我が国とはえらい違いやな。

こうしてヒューストンに越してきた一家。
おかげで子供たちは実父とも週一のペースで会えるようになった。
また一緒に暮らせたらいいのにな。
しかし、子供たちが願う復縁にはならなかった。

この親父、音楽を愛する自由人。
親としての自覚に乏しく、定職を持たずふらふらしているものだから、母ちゃんとの衝突が絶えないのだ。
ねえ、父ちゃん仕事してるの?
子供たちにまで心配されるダメ親父じゃった。

さて、復学した母ちゃんは、ほどなく再会した大学の恩師と再婚。
互いに子連れ再婚だったので同世代の兄姉ができ、一家は賑やかになった。
また、生活面の心配がなくなり、母ちゃんも勉学に専念できる。

しかし、いい事づくめではなかった。
この新しい義父ときたら、何かにつけて支配的で嫉妬深いのだ。
家族を支配することが、父親の威厳だとでも思い込んでいるのだろうか。
おまけに酒癖が悪かった。
皮肉にも、子供たちにとって、週一で会えるダメ親父とのひと時が心の支えになってゆく。

そんな生活も、義父の家庭内暴力が激しくなるにつれ、ついに破綻。
危機感を覚えた母ちゃんは子供たちを連れ、着の身着のまま逃げるように暴力夫のもとを去るのだった。
さあ、少年一家はどうなってしまうのだろう。

物語は、成長してゆく少年の視点で、だめんずうぉーかーな母ちゃん率いる一家の軌跡を追うヒューマンドラマ。

取り留めのない家族の日常会話が中心。
それこそが彼らの成長の証であり、作品の見どころでもある。
我々は他人を教師に、あるいは反面教師にし、互いに影響を与え合いながら生きているのだとしみじみ感じる。

上映時間は1時間40分余りと長め。
奇をてらうでもなく、流れる時間のごとく淡々と綴ってゆく手法は、起伏に乏しくややもすれば退屈に思えるが、実母や実父の再婚によって変化してゆく少年の家庭を追体験することができる興味深い一作。

虚勢を張ることなく自らの過ちを素直に認め、同じ失敗を繰り返すなと子供を諭すダメ親父の親心に心打たれた。
こんな父ちゃんがいたら嬉しい。
しかもイーサン・ホークだからカッコイイ。

エラー・コルトレーン
ローレライ・リンクレイター
「穴/HOLES」のパトリシア・アークエット
「ブルーに生まれついて」のイーサン・ホーク
リビー・ヴィラーリ
マルコ・ペレッラ
アンドリュー・ヴィジャレアル
ジェイミー・ハワード
ブラッド・ホーキンス
チャーリー・セクストン
リチャード・ロビショー共演。

原題「BOYHOOD」
2014年 制作。
PG-12