おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

グッド・ライ いちばん優しい嘘

穏やかな晴天の一日。
バジルとフウセンカズラの種を蒔いた。

映画「グッド・ライ いちばん優しい嘘」を観た。

時は1983年。
スーダンで内戦が勃発。
北軍が南部の村を破壊。
1987年までに数千人の孤児がアフリカ大陸を歩いてエチオピアケニアの難民キャンプに辿り着いた。
彼らは、迷い子=ロストボーイズと呼ばれた。
そんな前置きから物語は幕を開ける。

ここは南スーダンの村。
サバンナで牛を飼い、広場では子供たちが遊び戯れている。
のどかな光景だ。

いつものように木によじ登って遠くを見つめる少年は、ふと異変に気づいた。
ヘリだ。
しかし逃げる間もなく村は空爆され、銃を乱射する兵士たちが家々に火を放つ。

隠れた子供たちだけが辛うじて難を逃れた。
親を殺され悲しんでいる暇もない。
生きなくては。

もし何かあったらエチオピアが安全じゃ。
長老がそう言っていたっけ。
とはいえ、ここには地図も道路もねえよ。

年長である少年の兄をリーダーに、彼らはエチオピアを目指し、朝日の方角へサバンナを歩み始めた。
飢えと渇きが彼らを襲う。
長老から習ったサバイバル術も虚しく、弱った仲間が次々と息絶えてゆく。

そのうち、大勢の孤児の列に出くわした。
エチオピア方面は兵士の支配下にあり、引き返しているのだという。
兵士になるのが嫌で、北部から逃げてきた子供も混じっている。

彼らは孤児の列に加わり、ケニアを目指して今度は南へと歩みを進める。
行く先々の村は焼き払われ、そこらじゅうに死が漂っている。
兵士がどこに潜んでいるか分からない。
ちょっとした油断が生死を分けてしまうのだ。

ここで少年は、うっかり兵士に見つかってしまう。
身代わりになった兄の機転で難を逃れたものの、この兄とは今生の別れになってしまった。
ああ、苦しみと悲しみの数千キロ。
死を乗り越えた彼らは、ようやくケニアの難民キャンプに辿り付くのだった。

物語は、南スーダンの子供難民ロストボーイズの足取りを辿るヒューマンドラマ。

難民の受け入れ先はなかなか見つからない。
13年難民キャンプで過ごしたのち、ようやく念願叶って渡った米国。
夢と希望に満ち溢れていた彼らが、そこで目の当たりにした現実とは何か。

序盤は子供たちの過酷なサバイバル。
中盤以降は、スーダンテロ支援国家に指定されたことにより、難民受け入れ先の米国で彼らが置かれた理不尽な境遇に迫る。

事あるごとにふと蘇る心の原風景。
それは兄を身代わりにした罪の意識か。
はたまたアフリカを置き去りにしてきた寂しさか。
自らを責め続ける彼らの心を表す描写が見事。

急ぐなら1人で行け。
遠くへ行くなら一緒に行け。
アフリカにはそんなことわざがあるという。
我々がとうに忘れてしまった感謝の念や祖先を敬う彼らの純粋さに、心が洗われたような気がした。
南スーダンの子供難民について知る、目頭熱くなる一作。

アーノルド・オーチェン
ゲール・ドゥエイニー
エマニュエル・ジャル
クース・ウィール
フェミ・オーガンズ
「わたしに会うまでの1600キロ」のリース・ウィザースプーン
「タミー Tammy」のサラ・ベイカ
「ゴールド 金塊の行方」のコリー・ストール
ピーターテン・モンゴック
オクワール・ジェール
トーン・クース
デング・アジュエ
ケジ・ジェール共演

原題「THE GOOD LIE」
2014年 制作。