おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

雲ひとつない晴天の一日。
天気予報が灼熱のマークになり、光化学スモッグが発生する季節になった。
長らく活動を停止していたアルテシーマゴムの新芽がここにきてようやく動き始めた。
桜が咲く頃になっても新芽が動き出さないので、根腐れでもしているのかと心配していた。
アルテシーマゴムの新芽が吹くのは気温が30度近くなってからのようだ。
またひとつ学んだ。

映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」を観た。

石畳が続くローマの路地を疾走する男。
その後を警官のバイクが追う。
彼はどうやら窃盗犯らしい。

デモ隊の列をすり抜けた先には観光名所サンタンジェロ城が見える。
いよいよ追い詰められた彼は、階段を下るとテヴェレ川に打ち捨てられた浚渫船から水中に飛び込んだ。

どうやらうまく警官をやり過ごしたようだ。
陸に這い上がろうとしたその時、水底に捨てられたドラム缶を踏み抜いてしまった。
水中に広がる重油のような液体がたちまち彼を飲み込む。

全身ドロドロ。
したたかに嘔吐し、ふらふら歩き出した彼は知らない。
ドラム缶に印されていたのは禍々しいマーク。
放射性汚染物質だ。
そんなシーンから物語は幕を開ける。

さて、なんとか帰宅したものの、顔は青ざめ吐き気と体の震えが止まらない。
ああ、彼はこのまま死んじまうのだろうか。

翌朝、昨日のあれが嘘のようにケロッと目覚めた。
さっそく盗んだ腕時計を地元の犯罪組織メンバーのオッサンに売りに行く。
オッサンは、この街に友達のいない孤独な彼の唯一の知り合いだ。
その成り行きで急遽、麻薬取引の仕事を手伝うことになった。

場所はひと気の無いビル建設現場の9階。
運び屋からブツを取り出そうというその時、想定外のトラブルが起こった。
運び屋もオッサンも死に、彼は撃たれた弾みで9階から真っ逆さま。

そして誰もいなくなった

いや、アスファルトに大の字でめり込んだ彼は、ほどなくむっくりと起き上がるのだった。
不死身かッ!?

一方、入荷しないブツを巡って、犯罪組織は連絡を断ったオッサンを血眼で捜し始めたよ。
その手がオッサンのひとり娘に迫る。
さあ、どうなる!?

物語は、超人的なチカラを手に入れた小悪党がヒーローに目覚めてゆくまでの過程を描いたSFクライムアクション。

イタリアでも地上波放送され、広く一般に知られていたらしい和製アニメ「鋼鉄ジーグ」にちなんだ一作。

熱烈なジーグマニアだったオッサンの娘。
彼女を助けた経緯から、男はヒーローの名でシバ・ヒロシと呼ばれるようになる。
とはいえ少年時代から犯罪の道をひた走ってきた彼は、手に入れたチカラで自分の欲望さえ満たせれば満足。
他人になど無関心。
ヒーローとは程遠く、むしろアンチヒーローに近い存在だ。
そんな男が、アニメヒーローをなぞらえるように少しずつ人の心を取り戻してゆく姿が見どころ。

子供向けなアメリカのヒーローものにはない、えぐい描写とシニカルな笑いが特徴的。
特に、作品の顔といってもいい、主人公と敵対する組織ボス役の狂気じみたキャラクターが強烈だ。

惜しいことに鋼鉄ジーグをまるで知らない。
アニメに親しみがあればもっと楽しめたに違いない。

007 カジノ・ロワイヤル」のクラウディオ・サンタマリア
ルカ・マリネッリ
ステファノ・アンブロジ
イレニア・パストレッリ
マウリツィオ・テゼイ
フランチェスコ・フォルミケッティ
ダニエーレ・トロンベッティ
サルヴァトーレ・エスポジト
ジャンルカ・ディ・ジェンナーロ
アントニア・トゥルッポ共演。

原題「LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT」
2015年 イタリア制作。
PG-12