おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

名探偵登場

雨で空気が冷え、暑さも一段落した清々しい一日。
昨日の痛ましい事件を受け、社会の歪みが生み出したモンスターからいかにして子供たちを守るかという不毛な議論が続いている。
たぶん明確な答えは誰も持ち合わせていないだろう。

映画「名探偵登場」を観た。

錠前を外し、埃まみれの古びた箱を開ける。
すると、仕掛け絵本のような紙細工が現れた。
古びた屋敷を背景に立つ人々。
彼らの目玉だけがキョロキョロと不気味に動く。
これから始まる物語の登場人物を模しているのだろう。
そんなオープニングロールから物語は幕を開ける。

ここは人里離れた富豪の屋敷。
暖炉が燃える書斎で主人が招待状をしたためている。

謹んで晩餐会と殺人へご招待します。

世界各地に住む5人の名探偵に宛てた招待状だ。
主人は盲目の執事にこれを託した。
こんな奇妙な招待状を受け取る彼らは、本当にやってくるのだろうか。

さて、約束の週末の晩、名探偵たちは深い霧に包まれた屋敷に続々と現れた。

屋敷へ続く橋は崩壊しかけ、ドアの真上からは石像が落下。
到着間もなく挑戦的な洗礼を受ける彼ら。
まるで殺しにかかっているかのよう。

怪奇マニアの主人によって様々な仕掛けが施された不気味な屋敷を、盲目のつたない執事が案内する。
ようやく晩餐会のテーブルに着いた一同の前に、忽然と主人は現れた。
今世紀最高の犯罪学者を名乗る主人いわく、

深夜12時、ここに集まった誰かが惨殺されるだろう。
そして犯人もこの中にいる。
さあ、名探偵の諸君、それが誰なのか当ててみたまえ。
これはゲームだ。
わたしは100万を賭けよう。
諸君らはその名声を賭けるのだ。

そんな挑戦を叩きつけ、主人は一同の前から消え失せた。
まだ起きてもいない犯罪を追わせるとは奇っ怪な主人よ。
こうして彼らは、ああでもない、こうでもないと、不気味なからくり屋敷に翻弄されながら事件が起きるその時を待つのだった。

物語は、密室と化した屋敷で繰り広げられる不気味で愉快なパロディ風ミステリー。

どこか間の抜けた会話劇を中心に物語は展開。
登場人物たちは、エルキュール・ポワロ、ミス・マープル刑事コロンボといったお馴染みのミステリー小説やドラマの主人公たちを模している。
彼ら名探偵の推理によって二転三転する展開が見どころ。

読者を騙すどんでん返しで散々馬鹿にされてきた100万のミステリーファンによる復讐が作品のコンセプトだという。
名探偵が右往左往する様を観客が楽しむ、小説やドラマの主人公たちに対するお仕置きともいえる。
皮肉が込められた一作。

スター・ウォーズ」のアレック・ギネス
悲しみよこんにちは」のデヴィッド・ニーヴン
マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のマギー・スミス
「チャンス」のピーター・セラーズ
リチャード・ナリタ
「泣かないで」のジェームズ・ココ
「アーティスト」のジェームズ・クロムウェル
「こわれゆく女」のピーター・フォーク
「ステラ」のアイリーン・ブレナン
メリー・ポピンズ」のエルザ・ランチェスター
エステル・ウィンウッド
トルーマン・カポーティ
ナンシー・ウォーカー共演。

原題「MURDER BY DEATH」
1976年 制作。