おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

美女と野獣

爽やかな晴天の一日。

映画「美女と野獣」を観た。

ここに、大きな商船をいくつも所有する豪商がいる。
ところが航海の途中、嵐に遭い船がすべて沈んでしまう。
ああ、なぜ同じ時、同じ航路に全ての船を出したのか。
せめて保険くらい掛けておくべきだった。
リスクヘッジが甘かった豪商はたちまち破産。
一切合財を失い町を去る、凋落した一家の姿から物語は幕を開ける。

貧しい田舎暮らしが始まってほどなく、海事局から船が一隻見つかったとの連絡を受けた。
積荷も無事なら再び町に返り咲けるではないか。
喜び勇んで町の海事局に駆けつけた豪商であったが、積荷は債権者が差し押さえてしまっているという。

なんてことだろう、返り咲けるどころか娘たちへのお土産すら買えない。
落胆し帰途に着く彼は、吹雪の森で遭難しかけ、いばらに覆われた廃墟のような城に辿り付いた。

誰もいない。
でも温かい食卓が用意され、娘たちへのお土産にちょうどいい品も用意されている。
これは夢だろうか。
ありがたいことだ。

去り際に、彼は末娘が所望していたバラを一輪手折った。
その時じゃった。
怒り狂ったライオン男が襲い来るではないか。
彼は、ライオン男の一番大切なバラを盗んでしまったようだ。

ライオン男はいう。
バラの代償に命を差し出せ。
再びここへ戻らなければ家族を順にコロース!

さあ、大変なことになった。
命からがら帰宅した父からその旨を聞いた末娘。
責任を感じ、父の身代わりに自ら城へと向かう。

こうして死を覚悟で城に乗り込んだ彼女を待ち受けていたもの。
それは色とりどりの美しいドレスの数々だった。

・・・殺すんやったら、早う殺して。

震える彼女に、主のライオン男は命じる。
領地を自由に散歩するのは構わない。
ただし、日が暮れたら城の外へは出るな。
そして毎晩7時には必ず食卓に着くように。

ライオン男の目的は何なのか。
こうしてヘビの生殺しみたいな監禁生活が始まるのだった。

物語は、その心と同じ獣へと姿を変えられた呪われし男と、勇気と優しさを持ち合わせた娘が織り成す、おなじみ「美女と野獣」を美しい映像で綴ったファンタジー

眠りに就くたびに不思議な夢を見るようになるヒロイン。
それはこの城の、在りし日の眩い姿。
彼女は夢の中でライオン男の過去をひも解き、その真実に迫ってゆく。

人恋しさや同情も愛情に転じるきっかけになりうると物語はいう。

細部の装飾まで素晴らしいヒロインのドレスが見どころ。
助手も無しにこれをひとりで悠々と着こなすあたりがいかにもファンタジー

真実の愛で呪いが解けるからくりだが、どの瞬間で互いの思いが愛に転じたのかは謎だ。
ストーリーが大雑把で突っ込みどころ満載だが、映像だけはやたら凝っている一作。
不満は多々あれど、呪われた城に巣食うビーグル犬の妖精が愛らしいので良しとしよう。

「若き人妻の秘密」のレア・セドゥ
「五日物語 3つの王国と3人の女」のヴァンサン・カッセル
イボンヌ・カッターフェルト
「風にそよぐ草」のアンドレ・デュソリエ
オドレイ・ラミー
サラ・ジロドー
ニコラ・ゴブ
ジョナサン・ドマルジェ
ルーカ・メリアーヴァ
バンテージ・ポイント」のエドゥアルド・ノリエガ
ミリアム・シャルラン共演。

原題「LA BELLE ET LA BETE」
2014年 フランス、ドイツ制作。