おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

バトル・オブ・オーシャン

吹く風爽やかな晴天の一日。
フウセンカズラがつるを伸ばし始めた。

映画「バトル・オブ・オーシャン」を観た。

時は20世紀初頭。
もうもうと黒煙を上げる大艦隊が夜の海に現れた。
大英帝国の旗がたなびくそれは、灯りの点る陸地目掛けて次々と砲弾を撃ち込む。
砂浜に土嚢を積んだ防衛側の兵士たちはひとたまりもない。
やがて夜が明けると、今度はボートに乗った上陸部隊がやってきた。
上官は全部隊を投入して死守せよというけれど、防衛側は火力が足りず、さすがにこれ厳しい。
敵の上陸を許し、撤退を余儀なくされるオスマン帝国軍の姿から物語は幕を開ける。

ここボルカル山脈の山村に使者がやってきた。
広場で戦死者の名が読み上げられると、集まった家族らが次々と泣き崩れる。
そして、戦況が思わしくないのか新たな徴兵リストが公表されるのだった。

もうすぐ第一子が生まれるという若者の名がリストにある。
それを知った一家の家長である兄は気が気でない。
なぜなら、弟は射撃の腕こそ悪くないものの、気が弱く引き金を引くことをためらってしまう。
おれが戦場で守ってやらねば。
先のバルカン戦争を戦い抜いた兄は、志願兵として弟と共に再び戦場へと赴く。

国土が侵略されようとしているのだ。
命をかけて土地や名誉、そして家族を守る。
戦場へ向かうことは、彼らオスマンの民にとって当たり前のことだった。

彼らは、5日歩いてようやく砲弾飛び交う最前線の塹壕に辿り着く。
既に上陸した敵は、丘から見下ろす海岸に野営地を築き上げている。

やはり弟は恐怖のあまり小銃を抱えたまま身動きひとつできない。
こりゃあかん。
みすみす敵の的になるだけや。

そんな弟を守りつつ戦う兄は、ほどなくその腕を上官に見込まれ特別任務を与えられる。
単独行動で敵将校を狙い撃つスナイパーだ。
彼はその引き換えとして、前線に向かない弟を後方支援にまわしてもらえるよう願い出るのだった。
兄としては、これでひとまず安心だ。

さて、気配を感じさせず、塹壕の中の敵将校をピンポイントで狙い撃つ。
この恐るべき名スナイパー登場に敵陣は震え上がった。

そこで、このスナイパーに対抗すべく、大英帝国連合側も名うてのスナイパーを投入。

さあ、スナイパー対スナイパーの戦い。
一体どうなるのだろう。

物語は、第一次世界大戦におけるガリポリの戦いを舞台に、あるトルコ人スナイパーの軌跡を描く。

生も死もアッラーが決めるのだと彼らはいう。
全てを神に委ね、運命をあるがままに受け入れる。
そんな人生を達観したかのようなトルコ人のスピリットに触れる一作。

この邦題タイトルをつけた人物は開幕部分しか観ていないのか。
ガリポリはこの世の果てだ。
もう先へは進めない。
命をかけて侵略者と対峙する彼の言葉をないがしろにするとは、しどい。

ギュルカン・ウユグン
ウーマット・クルト
ベラック・ツズナタッチ
フィクレット・イルディリム・ウラグ
テブファイク・アーマン・カットル
イナン・コサック
セダル・ゲンチ
ステファン・チャンス
ベン・ワーウィック共演。

原題「GALLIPOLI:END OF THE RORD」
2013年 トルコ制作。