おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

アンダー・ザ・スキン 種の捕食

日差し眩しい晴天の一日。

映画「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」を観た。

漆黒の闇の中に出現した光点。
光がこちらに近づいているのか。
いや、こちらが円形の輪から差し込む光に向かって進んでいるようだ。
やがて物体はぴったりと輪にはまった。
おや?
よくよく見るとそれは眼球の水晶体ではないか。
そんな、ヒトならざるものの製造過程から物語は幕を開ける。

日もとっぷりと暮れたスコットランドの山道を、一台のバイクが疾走する。
道端に停車したバンを見つけると、バイク男は道路わきの暗闇へ分け入った。
・・・トイレかいな?
ほどなく意識のない女を担いで現れた彼は、それを無造作にバンの中へと放り込んだ。

バンの中は異空間だ。
素っ裸の女が意識のない女から衣類を剥ぎ取り、その身に着けてゆく。
あれ?
二人ともまるっきり同じ顔ではないか。
壊れて役目を終えたボディから新しいボディへ、まるで引継ぎが行われたかのよう。

さて、衣服を奪った女はさっそくバンを運転し、ひとり道を行く男を選んでは声をかける。
突然居なくなっても誰も気に留めない、天涯孤独な男がターゲット。
その色気を武器に、男たちを誘惑しては部屋に連れ込むのだ。

古びたアパートの一室だったり、荒れ果てた廃屋だったり。
入り口は様々だが、部屋の中は同じ異空間。
部屋そのものが胃袋のように男たちを飲み込み、ヤル気満々だった彼らは目的を果たせないまま終わりを迎える。

彼女はさながら、巣に餌を誘い込む役割を担った働き蟻だった。

物語は、集団の意思で行動しヒトを捕食する、謎めいたヒト型生命体を描いたSFスリラー。

もしも、蟻のような社会性昆虫に似たヒト型生命体が存在したら。
そして、その中の一体に、突然自我が芽生えたら。
そんな仮定をもとに、ヒトを捕食する彼女らの生態を淡々と観察してゆく。

捕食者とヒト。
果たしてどちらが残酷なのだろうと見る者に問いかける。

台詞ほぼ無いまま、映像を手がかりにストーリーを読み取ってゆく。
台詞の無い演技で伝える、主演スカーレット・ヨハンソンの底力を見たような気がする。

彼女らは飛来した生命体なのか。
はたまた、もともと地上に存在していた生命体なのだろうか。
観客にあれこれ推理させる、興味深く謎めいた一作。

「LUCY ルーシー」のスカーレット・ヨハンソン
ジェレミー・マクウィリアムス
ケヴィン・マクアリンデン
アンドリュー・ゴーマン
ジョー・スズラ
天使の分け前」のポール・ブラニガン
クリシュトフ・ハーディック
アダム・ピアソン
マイケル・モアランド
デイヴ・アクトン共演。

原題「UNDER THE SKIN」
2013年 イギリス、アメリカ、スイス制作。
R-15+