おかめさんのキネマ手帖

映画の予備知識は限りなくゼロに近いのが理想や。 そう思うてるライトユーザーなオバハンがつぶやく ぼちぼちな映画日記やで。

最愛の子

大荒れの昨日とはうって変わって、蒸し暑い薄曇りの一日。
昨日から学校を休みにして行われているG20
大阪の街を各国首脳や報道陣にアピールすることが教育よりも重要なのでしょうかね。
やっぱりカネあっての教育でしょうか。

映画「最愛の子」を観た。

時は2009年7月。
ここは都市開発が進む中国の深セン市。
ごちゃごちゃと狭く入り組んだ旧市街の路地には、絡み合うように電線の束が張り巡らされている。
その一角で細々とネットカフェを営む男がいる。

そこへ、離婚した妻が幼い息子を送り届けにやってきた。
親権は彼にあり、彼女がこうして息子と面会できるのは週に一回だけ。
富裕層と再婚し新市街でリッチな暮らしを送る妻は、息子の生活環境や教育環境も含めて不満たらたらだ。

さて、男が店で騒ぎを起こした客の対応に追われている時のことじゃった。
帰宅した息子はその隙に近所の子供たちと遊びに行ってしまう。
おや?
あれは母の車だ。
走り行く母の車を追いかけ、遊び仲間から離れてひとり道路に出た息子。
次の瞬間、見知らぬ大人が息子をむんずと担ぎ連れ去ってゆくではないか。
あっという間の出来事じゃった。
そんなショッキングな児童誘拐のシーンから物語は幕を開ける。

夕方になっても息子は帰ってこない。
心配になった男は、近所を捜し子供たちに聞いて回るも誰も知らないという。
さては先ほど来た元妻が連れ帰ったのか。

元妻のマンションに怒鳴り込んだ時、彼はようやく事態に気づく。
事は一分一秒を争うというのに、警察いわく失踪後24時間は事件として扱えないという。
元妻と友人、総出で夜の街を捜索するも、結局息子が見つかることはなかった。

こうして彼と元妻の地獄の日々が始まった。
報奨金を賭け、街頭のビラを配りからSNSでの呼びかけといった、持てる手を尽くした捜索も虚しく有力な情報はもたらされず。
そんな彼に、子供を誘拐された不幸な人間を騙しカネをせしめようという血も涙もない連中が群がってくる。

それでも、かけがえのない我が子を取り戻すためなら何だってやるつもりだ。
それが親心ってもんだ。
情報の真偽を確かめに中国各地へ赴き、時に命の危険に晒されつつも、彼の執念の捜索は続くのだった。

中国では児童誘拐が横行しているのだという。
子供を買う人間がいるから誘拐が後を絶たない。
さあ、果たして彼の息子は無事に見つかるのだろうか。

物語は、中国で社会問題となっている児童誘拐をテーマに、子供を連れ去られた親の苦悩を描く実話を基にしたヒューマンドラマ。

前半は息子を連れ去られた夫婦の苦しみを。
そして後半は誘拐犯の妻が子供を奪われる、連れ去られた子供を巡る不幸の連鎖を描き出す。

記憶もあやふやな幼い子にとっての2年という歳月は、大人にとってのそれとはまるで違う。
たとえ我が子が見つかっても、元の家族には戻れない悲しみが胸を突く。

児童誘拐の背景にある、すさまじい貧富の格差、拝金主義、地方出身者の劣悪な労働環境、人口抑制策。
そんな社会問題を垣間見せつつ、国の愚策を暗に指摘している。
子供を持つ親にとって耐え難い一作。
あなたの隣の小さな手、絶対に離してはいけない。

西遊記 はじまりのはじまり」のホアン・ボー
ハオ・レイ
チャン・グォチアン
「ムーラン」のヴィッキー・チャオ
「ドラゴン・コップス 微笑捜査線」のトン・ダーウェイ
チャン・イー
「人魚姫」のキティ・チャン
「薄氷の殺人」のユー・アイレイ共演。

原題「親愛的」
2014年 中国、香港 制作。